ケヴィン・ベーコン『フットルース』の名声は心地よくなかった!?
演技派俳優ケヴィン・ベーコンが、Amazonの新ドラマ「アイ・ラブ・ディック(原題) / I Love Dick」について、5月8日(現地時間)ニューヨークのAOL開催のイベントで語った。
作家クリス・クラウスが執筆した同名小説を、人気ドラマ「トランスペアレント」のクリエイター、ジル・ソロウェイがドラマ化。テキサス州のある田舎町を作家の夫シルヴェール(グリフィン・ダン)と訪れたフィルムメイカーのクリス(キャスリン・ハーン)は、大学教授のディック(ケヴィン)と出会い、夫とは全く異なる自由奔放なディックにやがて惹かれていく。
本作への出演理由についてケヴィンは「ジルの仕事ぶりは『トランスペアレント』で知っていたし、大ファンのキャスリン・ハーンが関わっていたことが大きいね。キャスリンは面白いだけでなく、シリアスな女優でもある。それにパイロット版の脚本も素晴らしかったんだ」という。続けて「ディックのシーズンを通した方向性について、事前にジルとスカイプで話し合ったんだ。ジルからは『ディックの内面に入り込み、彼の魂の下で生きて(演じて)ほしい』と言われたよ。数シーズンやるつもりで、俳優としても新たな道を切り開く気持ちで参加したんだ」と明かす。
そのディックのキャラクターについて「彼は小さな田舎町では憧れの存在になっているが、自分のそんな状況に葛藤している。有名人になったことを自分以外誰も責めることはできないし、実際に有名になっても、長年ずっとその状態にいなければ(その葛藤を)理解できない。たとえば成功したアーティストでさえも、自分の作品がその報酬に見合っているのかを問いただすことがあって、自分は“見せかけ”ではないかと思ったりすることがある。ディックは、そういった葛藤を抱いているんだ」と説明。
ケヴィン本人も過去にディックのような悩みを抱えていたそうで「映画『フットルース』が公開されたとき、急な名声への準備はしていたつもりだったけれど、実際には準備ができていなかったんだ。名声は全く心地よくなかったからね。当時は24、5歳で、それまで舞台や映画でさまざまな役柄を演じ、シリアスな俳優になりたいと思っていた。ところが突如ポップスターのような存在になってしまって。当時の僕はそんな名声を無視するしかなかったんだ」と振り返り、「今もその選択には後悔していないよ」と明かした。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)