岡田准一、役者スイッチは常にオン いまは体を絞るオイルに夢中
映画『関ヶ原』で、歴史ファンの間で人気のある石田三成をこれまでとは違う人間くさい人物として体現した岡田准一。彼が役とストイックに向き合うことは周知の通りだが、本作の撮影を振り返るそのコメントから、その並々ならぬこだわりが伝わってきた。
『関ヶ原』は司馬遼太郎の同名ベストセラー小説をもとに、『日本のいちばん長い日』(2015)などの原田眞人監督が、戦国史上最大の合戦・関ヶ原の戦いを独自の解釈も入れながら真正面から描いた歴史エンターテインメント。岡田は本作で、天下取りをもくろむ徳川家康(役所広司)と激しい死闘を繰り広げる石田三成を演じたが、撮影時は「『関ヶ原』色にずっと染まったまま普段の生活も送っていました」と振り返る。
この言葉だけを聞くと、撮影中は意識的に役柄の人物になりきっているようにも思えるが、その考えを岡田自身の次の言葉が打ち消す。「オンとオフの切り替えが無理なので、あるとき諦めたんですよね。だから撮影中に行われる別の取材では、役に入っていないときほどうまくはしゃべれない。プロだからどちらもできなきゃいけないんですけど、自分とは違う何かをまとっているときは、どうしても意識がそっちにいっていて切り替えが難しいんです」
だが、それこそが岡田が常に目の前の役と真剣に向き合っていることの証であり、劇中で「ぞっこん打ち込むのがお主」と指摘されるほどの石田三成の真っすぐさとも重なる。
そこでそのエピソードにちなんで「いまぞっこんなもの、ハマっているものは?」と聞いてみると、「オイルですね」と思いがけない答えが。「体重をいままで上げていたんですけど、いま撮影している作品で体を絞らなくてはいけなくて。そのオイルを飲むと、筋力を下げずに体重を落とすことができるから楽だな~と思いました」と本当にうれしそうな笑顔を見せる。
その彼らしいコメントを聞き、満面の笑みを見て、“岡田准一”の演じることに対する妥協のない姿勢やそこに懸ける想い、芝居が心底好きなことがあらためてよくわかった。『関ヶ原』の石田三成にも、そんな岡田のすべてが込められている。(取材・文:イソガイマサト)
映画『関ヶ原』は8月26日より公開