ベテラン声優・大塚明夫、同世代俳優の活躍に刺激 役者としてのスタンス語る
ドニー・イェンなど世界のアクションスター&監督も絶賛した下村勇二監督作『RE:BORN リボーン』で、謎多き男・ファントムを演じた大塚明夫が、自身の所属する「劇団AUN」の座長である吉田鋼太郎ら、同世代俳優から受ける刺激を語った。
人気ゲーム「メタルギア ソリッド」のスネーク役や洋画吹き替えなど、声優として絶大な支持を得る大塚。『RE:BORN』で彼が演じたファントムは、顔にスネーク同様の傷メイクを施して登場するが、これは「メタルギア ソリッド Vファントムペイン」でアクションコーディネーターを務めた下村監督によるオマージュだ。「監督自らが『顔の傷、いいですか?』とリクエストしてくださり、大変うれしかったですね。しかも、私を守る傭兵役の皆さんが『メタルギア』のファンだったんですよ!」という撮影裏話は、カリスマ的人気を誇る彼ならではだ。
元バービーボーイズのKONTAと共演した『乱死怒町より愛を吐いて』撮影後、「芝居が楽しく、もう少しやりたいと思っていたときに、下村監督からオファーをもらった」という『RE:BORN』では、戦闘術「ゼロレンジコンバット」を習得したアクション俳優のTAK∴(坂口拓)と共演。「普段はモニター画面と向き合い、ナレーションでは独りぼっちなので、なかなかお目にかかれない人たちと、お芝居で対峙できることはとても楽しい」と語る大塚は、「情熱を持った仲間が集まったインディーズ映画に出ることは、小演劇に近いものを感じる」とも。
昨年「真夜中の百貨店 ~シークレットルームへようこそ~」で連続ドラマ初主演を務めただけに、今後の俳優活動も気になるところだ。「もともと声だけで演技をしているつもりはないので、大変うれしいのですが、レギュラー番組などが決まっていると、長期の撮影スケジュールが取れない。今後もホームグラウンドである声優に軸足を置きながら、望んでいただけるなら、どんどん映像の世界に出ていきたい」と自らのスタンスを語った。
そんな近年の俳優活動には、“座長”である吉田鋼太郎など、同世代俳優の影響も大きいようだ。「鋼太郎をはじめ、渡辺謙さんや松重豊さん、遠藤憲一さんといった同世代が活躍しているのをテレビや映画で観るのは、とても刺激になりますし、そんななかに自分の席もあったら楽しいな、と思いますね」と、笑顔で語る彼が『RE:BORN』で放つ存在感は、観客の期待を大きく上回るだろう。(取材・文:くれい響)
映画『RE:BORN リボーン』は新宿武蔵野館にてレイトショー公開中 全国順次公開