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リリー・フランキー、障害者への無理解に苦言

脳性麻痺を患う主人公クマのモデルとなった熊篠慶彦氏と、クマを演じたリリー・フランキー
脳性麻痺を患う主人公クマのモデルとなった熊篠慶彦氏と、クマを演じたリリー・フランキー

 俳優のリリー・フランキーが7日、都内で行われた映画『パーフェクト・レボリューション』の完成披露試写会に出席。同作で障害者の主人公を演じたリリーはこれまで障害者を扱った映画は重くなければいけないという風潮に疑問を抱いていたといい、「普通の映画として楽しんでもらいたい」と訴えた。イベントには清野菜名小池栄子松本准平監督、熊篠慶彦(企画・原案)、そして劇中歌を提供した峯田和伸銀杏BOYZ)も登壇した。

【写真】銀杏BOYZ・峯田和伸、障害者のセクシュアリティーを描く映画イベントに登場

 本作は身体障害者のセクシュアリティーに関する支援を行う特定非営利活動法人ノアールの理事長・熊篠氏の実体験をベースにしたヒューマンドラマ。幼いころに脳性麻痺を患い車椅子の生活を送っているクマ(リリー)と、人格障害を抱えた風俗嬢・ミツ(清野)との触れ合いを軽やかに描き出す。

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 リリーはクマのモデルとなった熊篠氏と約10年前に知り合って以来、活動に共鳴してきたそうで、壇上でもフレンドリーなトークを展開。熊篠氏も「遠巻きに観たら完全に脳性麻痺のおっさんになっていたので、すごかったです」とリリーの演技を称えた。

 こうして熊篠氏がイベントに参加したことにリリーは「熊篠くんが来られて良かったです」と目を細め、「脳性麻痺というと名前自体が誤解を招きやすいので、知的障害や言語障害を伴うと思われる方もいると思います」と脳性麻痺という障害が正しく理解されていない現実を指摘。「でも、全部が全部そうじゃないんだと。実際にこうやってお話しても流ちょうにしゃべっています。でも、熊篠くんを知らずに映画で俺が普通にしゃべりだすと、『映画だからご都合主義でしゃべってる』と思う人もたくさんいると思う」と主張した。

 車椅子生活のクマを演じたことには「難しくて、撮影前には電動車椅子の操作のためにレッスンに行きました。撮影中はずっと乗っていましたから、今日こうして菜名ちゃんと久しぶりに会って取材で横並びになった時にすごく違和感がありました」と述懐。演じることで発見もあったといいい、「例えば、熊篠さんは外であまり飲食をしません。それは、バリアフリーのお店で入口にスロープがあっても、トイレがバリアフリーになっていないことがあるからです。しっかり観ないと気づかないことかもしれない」と振り返った。

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 さらに、障害者を扱う映画についての疑問と持論も語ったリリー。「障害者を扱う映画は『重くなくてはいけない』と思うところがあるかもしれないけど、こういう普通に笑えて楽しめる映画がないのが不思議でした」と言い、「そう言うことが不謹慎だと思う方も多分いるでしょうけど、それ自体が差別で、何で冗談にしちゃいけないのか。半分以上は熊篠くんの実話に基づいて作られたので、普通の映画として楽しんでもらいたいです」と本作に込めた思いを真摯に語った。(取材・文:中村好伸)

映画『パーフェクト・レボリューション』は9月29日公開

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