監督の両親は元神父と修道女!恋に落ちた神父の葛藤を描いた話題作とは
神父の信仰と愛を問うた話題作『ザ・グッド・カトリック(原題) / The Good Catholic』について、俳優のザカリー・スパイサーとジョン・C・マッギンレー、ポール・ショルバーグ監督が、9月6日(現地時間)ニューヨークのAOL開催イベントで語った。
父親を1年前に失い精神的に不安定な若き神父ダニエル(ザカリー)は、保守的な年配の神父ヴィクター(ダニー・グローヴァー)と自由な精神の神父オリー(ジョン)らと平凡な日々を過ごしていた。ある日、教会で歌手のジェーン(レン・シュミット)に死期が近いことを告白され、神父として人道的に彼女に接していたダニエルだが、いつしか表現できない葛藤に悩まされていく。サンタバーバラ国際映画祭で最優秀長編作品に選ばれた。
父親は神父、母親は修道女だったというショルバーグ監督。教会で出会って恋に落ちた二人は(監督を含めた)3人の子供に恵まれたそうだ。そんな自伝的な要素が感じられる今作について「両親の大まかな話に基づいているね。他の人にはクレイジーなストーリーに聞こえるかもしれないけれど、そうやって(人が恋に落ちて)子供が生まれることもある。神父や修道女であってもノーマルだよ(笑)」と答え、父親にとって重要である信仰の意味を探索することにしたと語った。
10年前にショルバーグ監督と出会ったというザカリーは「彼は脚本を執筆し終えるたびに、毎回僕にその脚本を送ってくれたんだ。だからポールの脚本の執筆の仕方をよく理解していたと思うよ。今度の脚本は、これまで彼が書いたものの中で一番良い脚本なんだ」と話し、続けて「彼は僕に型にはまっていない神父を描きたいと語っていたんだ。神父として自身の人生を捧げる人はどんな人物かを問うているんだよ。神父も人であり、思想、望みや欲望があり、それが急に(神父になったから)なくなるわけではない。そんな神父と信仰の複雑な関係が脚本に織り込まれているんだ」と答えた。
自由な精神の神父オリーを演じたジョンは役柄について「どんなコミュニティーにもBuffoon(ジョークを言って人を笑わせる人)が居るよね。ある意味、喜劇的な役柄だ。ただそんな役柄でも、何が彼の基盤になっているか伝える必要があると思うんだ。ポールとは電話で何度も話し合って、オリーが信仰を探索している部分も含めなければいけないと伝えたよ。そこでポールは、オリーを信者に対して同情的な役に仕上げていったんだ」と明かした。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)