ギレルモ・デル・トロにベネチア金獅子賞!『三度目の殺人』は受賞逃す
第74回ベネチア国際映画祭
現地時間9日、第74回ベネチア国際映画祭コンペティション部門の授賞式がイタリアで行われ、最高賞にあたる金獅子賞に『パシフィック・リム』『パンズ・ラビリンス』などで知られるギレルモ・デル・トロ監督の『ザ・シェイプ・オブ・ウォーター(原題) / The Shape of Water』が輝いた。日本から出品されていた是枝裕和監督作『三度目の殺人』(全国公開中)は受賞を逃した。
『ザ・シェイプ・オブ・ウォーター(原題)』は1963年、冷戦時代のアメリカを舞台に、政府の極秘研究機関で囚われている謎の水生生物と、声を発することが出来ない清掃員の女性の不思議な交流を描くダークファンタジー。アメリカ映画の金獅子賞獲得はソフィア・コッポラ監督『SOMEWHERE』以来7年ぶり。デル・トロ監督にとっては初の受賞となり、涙で目を輝かせながら賞を受け取った監督は、自身のアイデンティティーであるメキシコやラテンアメリカ系のクリエーターに向けて「純粋さを失わず、信念に従えば、やがてすべてはうまくいくでしょう」と喜びを語った。
一方、最優秀監督賞にあたる銀獅子賞は、『カストディ(英題) / Custody』の グザヴィエ・ルグラン監督が受賞。同作が長編監督デビューとなったルグラン監督には、新人監督賞にあたる未来の獅子賞も贈られ、未来の巨匠の誕生を予感させた。
『三度目の殺人』は、是枝監督にとって、金のオゼッラ賞を受賞した映画監督デビュー作『幻の光』以来22年ぶりのコンペ出品となったが無冠に終わった。 しかし、福山雅治、役所広司、広瀬すずも出席した公式上映では、エンドロールの時点で拍手が起こるなど、ベネチアの観客から好意的な反応を得た。
また今年の映画祭では、1997年に映画『HANA-BI』で金獅子賞を受賞するなど映画祭と縁の深い北野武監督作『アウトレイジ 最終章』がクロージング作品として上映された。(編集部・石神恵美子/入倉功一)
第74回ベネチア国際映画祭コンペティション部門受賞結果は以下の通り
■金獅子賞(最優秀作品賞)
『ザ・シェイプ・オブ・ウォーター(原題) / The Shape of Water』(アメリカ)
ギレルモ・デル・トロ監督
■銀獅子賞(最優秀監督賞)
『カストディ(英題) / Custody』(フランス)
グザヴィエ・ルグラン監督
■審査員大賞
『フォックストロット(原題) / Foxtrot』(イスラエル、ドイツ、フランス、スイス)
サミュエル・マオズ監督
■審査員特別賞
『スイート・カントリー(原題) / Sweet Country』(オーストラリア)
ワーウィック・ソーントン監督
■最優秀男優賞
カメル・エル=バシャ
『ジ・インサルト(原題) / The Insult』(レバノン、フランス)
■最優秀女優賞
シャーロット・ランプリング
『アンナ(原題) / Hannah』(イタリア、ベルギー、フランス)
■マルチェロ・マストロヤンニ賞(最優秀新人賞)
チャーリー・プラマー
『リーン・オン・ピート(原題) / Lean On Pete』(イギリス)
■最優秀脚本賞
マーティン・マクドナー
『スリー・ビルボーズ・アウトサイド・エビング, ミズーリ(原題) / Three Billboards Outside Ebbing, Missouri』(イギリス)
■栄誉金獅子賞
ジェーン・フォンダ&ロバート・レッドフォード
■未来の獅子賞
『カストディ(英題)』(フランス)
グザヴィエ・ルグラン監督
【オリゾンティ部門】
■オリゾンティ賞(最優秀作品賞)
『ニコ、1988(原題) / Nico, 1988』(イタリア、ベルギー)
スザンナ・ニッキャレッリ監督
【VR部門】
■最優秀VR作品賞
『アーデンズ・ウエイク(エクスパンディッド)(原題) / ARDEN'S WAKE(EXPANDED)』
ユージーン・YK・チャン監督