ライバルの女子フィギュアスケーターを襲撃…トーニャ・ハーディングの真実を描く映画が好評!
第42回トロント国際映画祭
第42回トロント国際映画祭でワールドプレミア上映された映画『アイ、トーニャ(原題) / I, Tonya』が好評を博している。アメリカのスポーツ史において最大のスキャンダルの一つに数えられる「ナンシー・ケリガン襲撃事件」に関わったとされる元女子フィギュアスケーター、トーニャ・ハーディングの半生を悲劇的かつコミカルに描いた作品で、トロントでの好評を受けて北米配給権を獲得したNeonは、アカデミー賞を視野に入れて年内の公開を決めている。
トーニャ・ハーディングは、女子選手として史上二人目のトリプルアクセル成功者としても知られる人物。放送禁止用語を連発する母親のスパルタスケート教育を幼い頃から受け、トリプルアクセルをはじめジャンプで他を圧倒するも、審判には嫌われており、貧しい生まれで芸術性に欠けるとしてなかなか正当な評価を受けられなかった。ある日、ライバルのナンシー・ケリガンが何者かに膝を殴打される事件が起きるが、それを指示したのがトーニャの元夫であるジェフ・ギルーリーであることが判明。逮捕されたジェフはトーニャの関与を暴露し、彼女はスケート協会から追放されることになる。
映画は、テレビドラマ「ザ・ホワイトハウス」のアリソン・ジャネイふんするスパルタ母さんと、『キャプテン・アメリカ』シリーズのセバスチャン・スタン演じる夫ジェフとの、暴力があることが当たり前だったトーニャの生活(トーニャも即殴り返す)が痛々しくもユーモアと共につづられていく。
トーニャを含む関係者が取材を受けている体の現在のパートと、過去のパートが交互に展開する構成で、若きトーニャから大幅に体重の増えた現在の姿まで演じ切ったのは、『スーサイド・スクワッド』のハーレイ・クイン役で知られるマーゴット・ロビーだ。幼い少女に「あなたみたいな選手になりたい」と言われた時にマーゴットが見せる本当にうれしそうな表情には心揺さぶられるものがあり、確かにたくさんの問題を抱えていたが、愛されたいと願い、ただスケートを愛したトーニャの見過ごされがちな一面をも繊細に演じている。『ラースと、その彼女』のクレイグ・ギレスピー監督がメガホンを取った。(編集部・市川遥)
第42回トロント国際映画祭は現地時間17日まで開催