アントニオ・バンデラス、スペインの国民映画賞を受賞!
俳優・監督・プロデューサーとして活躍するアントニオ・バンデラスが、スペインの栄誉賞に当たる2017年国民映画賞を受賞し、現地時間23日、開催中の第65回サンセバスチャン国際映画祭で授賞式が行われた。バンデラスには同国の教育・文化・スポーツ相 兼 首相府報道官のイニゴ・メンデス・デ・ヴィーゴ・イ・モントホから賞金3万ユーロ(約390万円。1ユーロ=130円換算)が贈られた。
同賞は専門家などによる審議員によって、国内外でその道を切り拓き、優れた実績を持つ映画監督や俳優たちに贈られるもの。映画『サロメ』(2002)などで知られる巨匠カルロス・サウラ監督が1980年に受賞したのを皮切りに、1990年にペドロ・アルモドバル監督、1994年にビクトル・エリセ監督、2008年には俳優ハビエル・バルデムに贈られている。
バンデラスはアルモドバル監督『セクシリア』(1982)でデビューし、『マンボ・キングス/わが心のマリア』(1992)でハリウッドに進出。以来、『シュレック』や『スパイキッズ』といった世界的な人気シリーズに携わり、今やもっとも有名なスペイン人男優といっても過言ではないだろう。その彼が、ようやく栄誉を手にすることとなった。
奇しくも同映画祭には『セクシリア』で初参加した思い出の地。バンデラスは、自身の35年の俳優人生の軌跡と、賞の重みを噛み締めながら「これまであらゆるジャンルの作品に携わり、俳優の仕事というのは、作品から生まれるユーモアや涙といった全ての感情を伝える能力が必要であると実感しています。そうして完成した作品が、観客それぞれの情熱を湧き起こすことが出来るのだということを知りました」と挨拶。続けて「まさに映画は、魂の塊で成り立っていると言えるでしょう。その魂は誰のものでもなく、世に何かを問いたいことがある人たちが誰でも活用できる、自主性が必要なのではないかと思います」と映画があるべき理想の姿について力強く語った。
3年後には還暦を迎えるバンデラスだが、世界を股にかけた活躍は止まることを知らず。現在もナショナル・ジオグラフィックのアンソロジードラマ「ジーニアス」の第2シーズンでスペインを代表する画家パブロ・ピカソを演じているほか、イタリアを代表する自動車メーカー・ランボルギーニ社の誕生秘話を描く映画『ランボルギーニ - ザ・レジェンド(原題) / Lamborghini - The Legend』では、創始者フェルッチオ・ランボルギーニにも挑んでいる。(取材・文:中山治美)
第65回サンセバスチャン国際映画祭は9月30日まで開催