『スター・ウォーズ』カイロ・レンはもう一人の主人公?“赤”が示すものとは
映画『スター・ウォーズ』シリーズのエピソード8にあたるシリーズ最新作『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』の脚本・監督を務めたライアン・ジョンソンが、本作を象徴する赤いイメージと、J・J・エイブラムスが監督した前作『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』に登場した悪役カイロ・レン(アダム・ドライヴァー)について語った。
【動画】カイロ・レンが衝撃的な行動に!『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』予告編
『スター・ウォーズ』が「子供のころから大好きだった」というジョンソン監督は、シリーズが特別であり続ける理由を「人が青春時代を経て大人になる転換期を描いていることだと思います」だと語る。「私が思春期に差し掛かるころに旧三部作が公開されたからかな。『大人になっていくこと』をテーマにしている映画はたくさんありますが、『スター・ウォーズ』はそれが顕著です。もともと、少年が大人の男になっていく物語ですから。私と同年代の人たちがファンになった理由もそこにある気がします」。
そう語るジョンソン監督は、本作において「特に興味を引かれたのはカイロ・レンという人物です」とカイロの存在に言及する。『フォースの覚醒』においてカイロは、ダース・ベイダーを崇拝しながらも、自身の良心である光の誘惑に葛藤し、計画が失敗すれば癇癪を起こすなど、ベイダーのように完成されていない、未熟な悪として描かれた。
そんな未完成の自分と決別するため、前作で衝撃的な選択をしたカイロをジョンソン監督は、今回の三部作の主人公であるレイ(デイジー・リドリー)と「対等な立場の主人公として認識されていると考えています」と語る。「旧三部作で観客は、ルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミル)に感情移入し、ベイダーは彼に倒されるべき強力な存在と認識していたと思います。でも今回の三部作において、観客はレイと同様に、カイロにも感情移入をするでしょう。少なくとも私はそうなんです」。
「カイロの行動は、青春時代の怒りや、両親に対する拒否行為であり、父親を倒したいという気持ちの表れです。程度の違いはあっても、それは誰の人生にも重なるものだと思います。自分の人生を主人公に重ねることと、悪者と重ねることは、ある種、同じ意味を持っている。そしてそれは、私にとって面白いと思える要素でした」。
そこで気になるのが、『最後のジェダイ』のタイトルロゴやポスターで使われている赤のイメージだ。この色は、ベイダーのようなシス卿のライトセーバーの色であり、『スター・ウォーズ』では特別な意味を持つ。もちろん、カイロが手にするライトセーバーも同様だ。ジョンソン監督は「もし(赤のイメージが)誰かの運命を表しているとしたら、きっと不吉な予兆ってことになってしまうのかもしれないね。いや実際にはわからないけど」と苦笑しつつ、「この作品の中でも、いくつかの重要な状況の中で、赤が大切な働きをしていることは確かです」と語る。
同時に「ただ、私自身が赤い色を気に入っていて、そういうふうになってしまったとも言えます。ポスターなんかで使っても、とても格好がいいですからね」と含みをもたせたライアン監督。カイロにまつわる発言を考えると、『最後のジェダイ』では、カイロがより重要な役割を果たすことは間違いない。(編集部・入倉功一/Koichi Irikura)
映画『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』は12月15日より全国公開