阿部サダヲ、クズ集合映画で松坂桃李に驚き
蒼井優がクレーマーの嫌な女・十和子を演じ、阿部サダヲが容姿も言動も汚い男・陣治にふんした映画『彼女がその名を知らない鳥たち』(10月28日公開)。ほかにも竹野内豊が最低のDV男・黒崎を、松坂桃李が物腰の柔らかい病的なゲス男・水島を怪演しているが、登場人物の中でも最悪なのは誰なのか? 蒼井と阿部が語り合った。
まずは「いちばん酷い奴は?」という質問には、阿部から「僕は水島くんがいちばん好きじゃないですね~」という答えが。「彼はあの後も、十和子にしたことと同じゲスなことをほかの女性にもたぶんするでしょうからね。それに松坂くんとの共演シーンでの『痛ーい!』という彼の言い方にすごくインパクトがあって、『やっぱり水島は酷いな』と本気で思いましたから(笑)」と松坂の入り込んだ演技にも驚いたことを明かす。
すると、蒼井も「わたしが演じた十和子もかなり最悪だから、人のことは言えないですけど、黒崎(竹野内)が何と言ってもいちばん最悪ですよ」ときっぱり。「最後まで俺が、俺がって感じで十和子にムチャなことを強要してきたし、『とりあえず1,000万円必要なんだ』って言われるシーンでは、わたしはどこか俯瞰しながら、本当にどうしようもない人だな、かわいそうだなと思いながら、芝居から離れて、なんか不思議な感覚になっていたのを覚えていますね」と振り返った。
また人気コミックを映画化した昨今の“キラキラ映画”と違って剥き出しの愛が映し出される本作だが、阿部は「僕はキラキラ映画に出させていただけることはおそらくないと思いますが、そういう映画を観ている若い世代の人たちにもぜひ観ていただきたいですね」とやんわりとコメント。その上で「夢みがちな映画もいいですが、そればかり観ていると大人になったときに痛い目に遭うかもしれない(笑)。ケガをしたくなかったら、こういう痛い映画も観ておいた方がいいですよ」とアピールしていた。
蒼井も阿部のその言葉を「キラキラもいいけれど、ドロドロやギトギトもいいですよって感じですね」と笑顔でフォロー。「それに日本では泣くのはだいたい女性ですけど、この映画が出品された先日のトロント国際映画祭では男の人たちが号泣していたんですって。そういう現象も面白いし、こういう映画がこれからも作り続けられる日本映画界であって欲しいと思うので、ぜひたくさんの人たちに観てもらいたいですね」。確かに最低な人間ばかりが出てくる痛くてしんどい映画だが、最後の最後でその痛みとしんどさが味わったことのない感動に変わるのだから、きっとふたりの言葉にうそはない。(イソガイマサト)