『鋼の錬金術師』山田涼介、超絶アクション一発撮り!監督が明かす撮影秘話
荒川弘の大ヒットコミックを実写化した映画『鋼の錬金術師』(12月1日 日本公開)について、11月20日(現地時間)、ニューヨークで開催されたアニメ・コンベンションに参加した曽利文彦監督が、拍手と大歓声で受け入れられた本作のプレミア上映後、インタビューに応じた。
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本作は、亡き母をよみがえらせようと錬金術で禁じられていた“人体錬成”を行ったことから左脚を失ったエド(山田涼介)と体全体を失ったアル(水石亜飛夢)兄弟が、奪われた身体を取り戻すために伝説の“賢者の石”を求めて旅に出る姿を描き出す。『ピンポン』などの曽利監督がメガホンを取った。
全てのスタントをこなしたという山田が、最も困難だったとする登場シーンについて曽利監督は、「イタリアの街の屋根を走ってジャンプするシーンなんですが、あの街は全部CGなんです。25メートルの屋根のセットを作って、そこを山田君が走って7メートル下にジャンプするというビッグショット。CGが背景にあることもあり、スタントも大変ですし、なにより普通は練習しなければ怖くて飛べないと思うんですが、山田君は『練習いらないので、カメラを回してください』と言ったんです。そして見事に一発でキメてくれました」と驚きの秘話を明かした。この他にも、息もつかせぬアクションシーンが展開されており、見どころになっている。
アル役の水石は当初、モーション・キャプチャーの俳優として起用されていたものの、声優としても参加することになった。その経緯について「確かに声は別の声優さんにお願いする予定だったんですが、撮影の時に水石君がものすごく良いお芝居をしていたんです。中でもエドとけんかをする演技は特に素晴らしくて、彼以外の役者はちょっと考えられないなと思いました。そこで、ぜひ『水石君でやらせてくれ!』とわたしからお願いしました」と直談判したことを明かした。
VFXに長けている曽利監督ならではのビジュアルも本作の見どころだが、兄弟愛を軸に描いている本作において、VFXとストーリーのバランスをどのように図ったのだろうか。「わたしは気持ちが揺さぶられるような感情的な映画か好きなんです。だからVFXが無くても、映画をちゃんと撮りたいという思いは前々からありました」と曽利監督。なんと本作は、VFXのスタッフとして参加していたという映画『タイタニック』の影響があるという。「ケイト・ウィンスレット演じるローズが『I’m flying』というシーンがありますが、あのシーンはミニチュアのタイタニックの船とCGで構成されていて、素晴らしくきれいなVFXのシーンなんです。VFXを使っても、すごく感情的で美しいシーンを作れるジェームズ・キャメロンはすごいと思っていました。今作で兄弟がけんかするシーンは、そんなキャメロン監督の影響を受けていると思います」と自信をのぞかせた。
今後、アメリカで作品を撮る気はあるのかと聞かれると、「今作を製作してみて、自分のバックグラウンドを含めた日本人としての文化を通してしか(作品を)描けないと思ったんです。やはり、アメリカの人たちの根っこの部分を理解できないですし、アメリカの作品でアメリカ人の気持ちを描くことは絶対できないと思いました。原作の『鋼の錬金術師』はルックスは西洋人ですが、ハートの部分はすごく日本人で、だから一生懸命やろうと思ったし、製作もできると思ったんです。日本人を描いたアメリカの作品ならできるかもしれませんが、アメリカ人を描いたアメリカの作品はできないと実感しましたね」と映画監督としてのこだわりを語った。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)