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号泣必至のストップモーションアニメ『ぼくの名前はズッキーニ』制作の裏側

来日して特別授業を行ったクロード・バラス監督
来日して特別授業を行ったクロード・バラス監督

 28日、第89回アカデミー賞長編アニメ部門へのノミネートをはじめ、世界の映画祭で高い評価を受けたストップモーションアニメーション『ぼくの名前はズッキーニ』のクロード・バラス監督が来日し、『この世界の片隅に』の片渕須直監督が教鞭(きょうべん)を執る日本大学芸術学部で特別授業を行った。

【画像】ズッキーニかわいい!特別授業の様子

 『ぼくの名前はズッキーニ』は、母親を事故で亡くして孤児院に入れられた主人公ズッキーニが、それぞれに問題を抱えた子供たちと共に明日への希望を見いだしていくさまを描いた感動作。本作のパペットはパーツごとにラテックス製の発泡体やシリコンを組み合わせて作られており、プロモーションのため同大学を訪れたバラス監督は、実際の映画のシーンをスクリーンに映し出しながら制作の裏側を解説した。

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 ズッキーニの人形を手にしたバラス監督は「このパペットと呼ばれる人形は、原則的には頭が大きいことが重要となります。そうすることで感情を表現しやすくなる。そして目が大きいということも一つの要素となっています。顔のパーツはマグネットで動きます。また、頭の中は空洞になっているので、眼球をまわして目を動かすことができます」と説明。

 学生からは「瞳の動きだけでなく、静的な、微妙な瞳孔の揺れまで取り入れられているのが現実味を強固にしていると思いました」という感想が。それに対してバラス監督は、パペットの顔のパーツを変えながら「とても重要なのは、アニメーターたちの作業をいかにして単純化させるかということ。このパペットはパーツを少し動かすだけで、簡単に表情を変えられるから、アニメーターも楽しみながら表情を変えることができた。それがさまざまな表情がうまくできた理由ではないかな」と分析した。

 さらに本作では、15個の撮影スタジオを用意し、それぞれにアニメーターが10名ほど所属していたのだとか。そしてそのうちの5つのスタジオは、次のシーンの準備を行っていたといい、バラス監督は「つまり次のシーンの撮影の準備をしている人と、撮影をする人とが、並行して作業しているわけです。1人のアニメーターは1日に4秒分の映像を撮るわけですが、重要なのは準備中の作業を潤滑に進めること。だから複数のパペットが必要となります。(主人公の)ズッキーニは7体、(ヒロインの)カミーユは3体用意しました」と明かした。

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 そんな気の遠くなるような作業を通じて完成した本作。学生たちからは「ボロボロに泣いてしまって恥ずかしいほどだった」「絵本を観ているようで心躍りました」といった映画の感想が飛び出したが、そんな講義もあっという間にタイムアップ。講師として参加していた片淵監督は「この作品はこれから日本でも公開されることになりますが、こういうタイプの作品がちゃんと受け入れられることが大事。今まで観ていたアニメと違うかもしれませんが、いろんなタイプの作品があった方がいい。皆さんが世の中に作品を発表する際にもそういう環境が必要なので、皆さんでこの作品を応援しましょう」と学生たちに呼び掛けた。(取材・文:壬生智裕)

映画『ぼくの名前はズッキーニ』は2018年2月10日より新宿ピカデリー、YEBISU GARDEN CINEMA ほかにて全国公開

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