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篠田麻里子、「苦痛でしかなかった」女優に開眼

悪女役で女優開眼!
悪女役で女優開眼!

 AKB48を卒業して約4年、ファッションモデル、タレントとして活動するその一方で、映画、ドラマ、舞台など、女優業にも力を注いできた篠田麻里子。地道に努力を積み重ねたその成果が、最新映画『ビジランテ』(12月9日公開)の悪女役で大きく実を結ぼうとしている。「女優として、全てをさらけ出す覚悟ができた」と意気込む篠田が、芝居に対する意識の変化、さらにはアイドル時代に学んだ自身のブレない生き方について真摯に語った。

【画像】妖艶!篠田麻里子の悪女顔

年初めに体当たりで演じた悪女

 本作は、『SR サイタマノラッパー』シリーズなどの入江悠監督が、故郷・埼玉県深谷市を舞台にしたオリジナル脚本を自ら映画化した衝撃ドラマ。父親の死をきっかけに、失踪していた長男・一郎(大森南朋)、市議会議員の次男・二郎(鈴木浩介)、風俗店経営者の三男・三郎(桐谷健太)とバラバラだった3兄弟が再会したことで、それぞれの思いがぶつかり合い、やがて破滅的な運命へと堕ちていく。

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 夫の出世のためなら手段を選ばない二郎の妻・美希役に抜擢された篠田は、男臭い俳優陣に混じって、体を張った入魂の演技をスクリーンに焼き付ける。「2017年の仕事始めが、わたしが出演するシーンの中で一番過激なシーンだったので、『今年はきっと、お芝居の年になる』という予感がしました。案の定、この撮影を乗り越えられたおかげで、お芝居に対する恐怖心が自分の中から無くなった」と述懐。「策士なのか、夫を愛するがゆえの執念なのか、美希は一筋縄ではいかない複雑な役なので、尻込みしそうになりましたが、お正月の1発目、入江監督に気合いを入れていただいた感じですね」。

アイドルと女優は真逆のアプローチ

 どちらかといえば“演じる”ことは苦手だったという篠田は、気持ちの変化をこう表現する。「わたしの中に、アイドルは自分で理想像を作り上げていくもの、という思いがあったので、自分はこうあるべき、自分にこれは似合わないなど、自己プロデュースに対する意識が強かった」。これに対して女優は、篠田にとって真逆の存在。「むしろ、自分をさらけ出していくのがお芝居の真骨頂。自分の弱さを見せることが苦手だったわたしにとっては、苦痛でしかなかった」。

 しかし、地道に経験を積むうちに、苦痛は快感に変わっていく。「恥ずかしさを捨てて、自分のいい部分も、悪い部分も、思い切って見せていくことによって、新たな発見もあり、人間力の向上にもつながる。それが、だんだん『気持ちいい』と思えるようになってきた。そしてめぐってきた本作への出演。もはや、テレビドラマでは作れないドロドロの人間模様、美希役を通して女優としてやっていこうという覚悟ができた」と語気を強める。

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AKB48卒業間際のジレンマ

篠田麻里子
AKB48卒業を振り返る…

 AKB48を卒業する際、最年長になり、若手に教える立場になった篠田は、「ここにいたらもう成長できない。もう1度、フィールドを変えて新人に戻りたい」という思いが強くなったと振り返る。「だから、ソロデビュー後は、いただいたお仕事が何であっても、一つ一つ集中し、やり切ることだけを考えていた」と告白する。ファッションモデル、タレント、そして女優……確かに篠田の中で絞りきれない日々が続いていたようだが、「今は『お芝居をやりたい』と明確に言える自分がいます」。

 「潰すつもりで来てください!」AKB48 27thシングル選抜総選挙で後輩を挑発したスピーチを覚えているだろうか。その裏には、AKB48で培った篠田の生きざまが隠されている。「センターは前田敦子、大島優子と揺るぎない存在がいるし、背が高いので選抜に選ばれても後方の端ばかり。そういうポジションで何ができるだろう? と考えたときに、『ファンを増やすこと』しかないと思って、自分の“道”を探し始めたんです。握手会やイベントで必死にファンを獲得する努力をすることで、次の年、前田、大島に次いで3位を獲得することができた」と当時を回想する。

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 「つまり、自分の中で自分にできる“努力”の方法を見つけて、目標とする立ち位置を自分で獲りにいく。それは芝居の世界でも同じこと。『いつか、自分にも大きなチャンスが来る』と信じて、そのときのために準備をしておくことが大事。『潰すつもりで来てください!』という言葉は、後輩たちにその意識を持ってもらいたかったから」と目を輝かせる。

 諦める前に、自分のできることを地道に積み上げる努力。本作にめぐり会えた篠田は、きっと、めぐり会うべくして、めぐり会えたのだろう。(取材・文・写真:坂田正樹)

映画『ビジランテ』は12月9日よりテアトル新宿ほか全国公開

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