ホラー映画で人気の怪優がキャリア功労賞に【第2回マカオ国際映画祭】
映画『悪魔のはらわた』(1973)など数多くのホラー映画に出演し、カルト的な人気を持つ俳優ウド・キアが、第2回マカオ国際映画祭でキャリア功労賞を受賞し、現地時間14日にセレモニーが行われた。キアは「生涯功労賞ではなくキャリアに対しての賞でというのがうれしい。“生涯”だと人生の終わりのように思ってしまうが、私はまだまだ俳優を続けます。映画を愛してますから」と語り、記念のトロフィーを誇らしく掲げた。
【写真】マカオ国際映画祭で次世代のアジアスターに選出された忽那汐里
同映画祭はホラーやコメディーなどのジャンル映画に焦点を当てており、今回の受賞は300本以上の映画に出演(本人談)してきたキアの功績を讃えるもの。73歳を迎えた今も精力的に活動しており、ヴィンス・ヴォーン主演『ブロール・イン・セル・ブロック99(原題)/ Brawl In Cell Block 99』(2017)やアレクサンダー・ペイン監督『ダウンサイズ』(2018年3月2日公開)と話題作で、変わらぬ異彩を放っている。
また日本ともなじみが深く、役所広司主演『アナザーウェイ D機関情報』(1988)や菊川怜主演『ダブル・デセプション 共犯者』(2000)に出演。2004年の第5回東京フィルメックスでは特集上映「ボーディ・ガーボル ~ハンガリーの前衛的鬼才~」のために来日し、映画ファンや若手監督たちとの交流を楽しんだ。
キアは「私は本当にラッキーな男だと思う。インディペンデント映画に出演していたところを優秀な監督たちに発掘してもらった」と語り、10代の頃のからの友人だった『リリー・マルレーン』(1981)のライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督や、『マイ・プライベート・アイダホ』(1991)のガス・ヴァン・サント監督らに感謝を捧げた。
また同日、各賞の受賞結果が発表された。今年は監督作1~2本までの新人を対象としたコンペティション部門に日本の作品は選ばれなかったが、フード・スペシャル・プレゼンテーションと題して二宮和也主演『ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~』が上映された。二宮は所属するグループ「嵐」がコンサートツアー中だったためにマカオ入りできなかったが、チケットは全上映作の中で真っ先に完売する人気ぶりだった。(取材・文:中山治美)
受賞結果は以下の通り。
■最優秀作品賞
ナタリア・ガラジオラ監督
『ハンティング・シーズン(原題)/ Hunting Season』
(アルゼンチン・アメリカ・フランス・ドイツ・カタール)
■審査員賞
シン・ユークン監督
『ラース・オブ・サイレンス(英題)/ Wrath of Silence』(中国)
■最優秀監督賞
グザヴィエ・ルグラン監督
『カストディ(原題)/ Custody』(フランス)
■最優秀男優賞
ソン・ヤン
『ラース・オブ・サイレンス(英題)/ Wrath of Silence』(中国)
■最優秀女優賞
ジェシー・バックレイ
『ビースト(原題)/ Beast』(マイケル・ピアーズ監督。イギリス)
■最優秀新人俳優賞
トーマス・ジオリア
『カストディ(原題)/ Custody』(フランス)
■最優秀脚本賞
サミュエル・マオズ
『フォックストロット(原題)/ Foxtrot』(サミュエル・マオズ監督。イスラエル、ドイツ、フランス、スイス)
■芸術貢献賞
ベンジャミン・クラカン
『ビースト(原題)/ Beast』の撮影に対して
■観客賞
ヤヌス・メッツ監督『ボルグ/マッケンロー(原題)/ Borg/McEnroe』(スウェーデン)
■NETPAC賞(最優秀アジア映画賞)
ヴィヴィアン・チュウ監督『天使は白をまとう』(中国)
■アジアン・ブロックバスター映画2017賞
ウー・ジン監督『戦狼 ウルフ・オブ・ウォー』(中国)
■キャリア功労賞
ウド・キア
■年間国際俳優賞
ドニー・イェン
■アップ・ネクスト賞(次世代のアジアスターに対して)
アン・ソヒョン(韓国)
エディ・ポン(台湾)
忽那汐里
セリーナ・ジェイド(香港)
チュティモン・ジュンジャルーンスックイン(タイ)
ピオロ・パスクアル(フィリピン)
ラージクマール・ラーオ(インド)
ルディ・リン(中国)
■プロジェクト・マーケット賞(各作品に賞金1万米ドル)
・『ミハラ(原題)/ MIHARA』(アメリカ・日本)
監督:ジャクリーン・キャステル、プロデューサー:ピエール・ハリソン
・『ザ・ガール・ウィズ・ノー・ヘッド(英題)/ The Girl With No Head』(マレーシア)
監督・プロデューサー:リュウ・センタット&ピート・テオ
・『ザ・ラスト・サベージ(英題)/ The Last Savage』(アメリカ・フランス・インドネシア)
監督:リアム・オドネル、プロデューサー:マシュー・ショーズ