『スター・ウォーズ』真の愛されキャラは彼だ?ハックス将軍の受難
映画『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』の愛されキャラは、愛らしい見た目が話題のポーグではなく、ハックス将軍だったかもしれない。ハックスは、赤毛で痩身のファースト・オーダーの司令官。『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』でストームトルーパーの大軍勢の前で演説していたあの人だ。悪役カイロ・レンとは背格好も年齢も同じくらいで、赤毛と黒髪という対になるビジュアル。ファースト・オーダー内の地位もカイロと同列らしく、となればこの2人が最高指導者スノークからの評価と寵愛を競いあうドラマが展開するのか……と思いきや、『フォースの覚醒』ではどんな性格なのかすら描かれなかった。
しかし、『最後のジェダイ』では大違い。冒頭で描かれる、レジスタンスの名パイロット、ポー・ダメロンとの交信では、イジられ気質な彼の性格が見えてくる。さらに、最高指導者スノークに叱責されたり、カイロにも暴力を振るわれたり(どちらもフォースで)と、受難続き。ネタバレにならないように詳細は省くが、『最後のジェダイ』のハックスはコメディーリリーフとしてもかなりキャラが立っているのだ。
さらにファンフィクションの世界では、ハックスと彼のペットの赤毛の猫ミリセントを描く創作があちこちに。これは『スター・ウォーズ』のストーリーを担当するルーカスフィルム・ストーリー・グループの一員、パブロ・ヒダルゴの2016年2月のツイートが発端。『フォースの覚醒』でカイロがダース・ベイダーのヘルメットを灰の上に置いていることについて、彼がジョークで「カイロがヘルメットを置く灰? あれはハックスの猫ミリセントのトイレの砂だ」とツイートし、赤毛の猫ミリセントの画像をアップすると、これがファンにウケて広まった。一見クールに見えるハックスが実はペットの猫を溺愛している……そんなオイシイ設定を、ファンが放っておくはずがない。『フォースの覚醒』のJ・J・エイブラムス監督は、あの灰はカイロが倒してきた敵の遺灰だと発言しているが。
そのハックスを演じているのは、アイルランド出身、赤毛の英国男優ドーナル・グリーソン。『ハリー・ポッター』シリーズで、ハリーの親友ロンのハンサムな長兄、ビル・ウィーズリーを演じた俳優だ。彼の父親は『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』の闇の魔術に対する防衛術の先生マッドアイ・ムーディを演じたブレンダン・グリーソン。製作陣が、原作で“兄弟の中で一番のハンサム”と書かれているビル役のキャスティングを検討していた時に、この父親が「俺の息子もハンサムだけど?」と言ったのが、ドーナルがこの役に抜擢されるきっかけになったという噂もある。
その後も話題作が続き、『アバウト・タイム ~愛おしい時間について~』でビル・ナイの息子役を務め、『FRANK -フランク-』ではマイケル・ファスベンダーのバンドのメンバー役、『レヴェナント:蘇えりし者』では負傷したレオナルド・ディカプリオへの付き添いを部下に命じる温情派の隊長役と、人気俳優を相手に着実にキャリアを積んでいる。
そんな注目俳優が演じるハックスが、このまま何もしないわけがないだろう。『最後のジェダイ』では、ライバルのカイロとの距離も、ある意味、ぐっと縮まる。ラスト近くのシーンでは、カイロを見ながら、何か危ないことを考えているかのような表情も見せる。きっと2019年12月公開の新3部作完結編『スター・ウォーズ/エピソード9(仮題)』では、何かドラマチックなことをやってくれるにちがいない。『最後のジェダイ』の要注目キャラは、実はハックス将軍なのかもしれない。(平沢薫)