フィギュアスケート金メダリスト「オリンピックは逃げ出したいのがノーマル」
1998年の長野オリンピックで、フィギュアスケート女子シングルの金メダルを獲得したタラ・リピンスキーが、1月11日(現地時間)、ニューヨークのAOL開催イベントで、長野オリンピックの思い出や来月開催される平昌オリンピックについて語った。
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6歳でフィギュアスケートを始めたタラは、冬季五輪フィギュアスケート女子シングル史上最年少(当時)となる15歳8か月の若さで金メダリストに。その後アマチュアを引退してプロに転向し、現在は解説者だけでなく、タレントとしても活躍している。
長野オリンピックでの金メダル獲得について、「(当時の)わたしは、オリンピックで自分が何をしたら良いのかわかっていなかったの」というタラ。「全米選手権、世界選手権、グランプリファイナルなどは毎年参加するから、何をしたら良いかある程度予測できるのだけど、オリンピックは一度会場に入ると極度の衝撃を受けて、いかにプレッシャーをコントロールするかわからなくなってしまうの。とても神経質になって、誰もが自分の名前をアナウンスされたら、(緊張でその場から)逃げ出したいと思うほどよ。でも、それがある意味ノーマルなの」とオリンピックがいかに特別であるかを説明し、自身は緊張を受け入れて、臨んだことで結果うまくいったと振り返った。
また、オリンピックは「完全にメンタルゲーム」と言い、自身が直前の全米選手権で、オリンピックチームに入ることだけに専念して気持ちを入れ替えたことが、重要な瞬間だったと分析。「オリンピックに参加するような選手たちは、みんなエリート(優秀な)選手たちで、誰もが似たような才能を秘めているわ。だから、オリンピックで競い合うときは90%がメンタルで、残り10%が身体的なものだと思うわ」と自論を展開させた。
全米代表の選考基準については、「五輪代表の選考は、いつも自分の中で葛藤があるわ。オリンピック代表選考のトライアルとされる全米選手権での順位でそのまま選手たち選考されればシンプルで良いと思う反面、実際にそのルールだったら、わたしはオリンピックには行けなかったことになるの。だから、やっぱり選考委員はフィギュアスケート選手の1年の記録をしっかり見る必要があると思うのよ」と答えた。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)