ソフィア・コッポラ監督、4年ぶり来日で笑顔「日本大好き」
来日中のソフィア・コッポラ監督が17日、都内で行われた最新作『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』のジャパンプレミアに出席。4年ぶりに日本の地を踏み、壇上に立つと「日本大好き。子供の頃から何度も来ておりますし、世界の中でもわたしの好きな場所のひとつです」と笑顔でコメントした。
2017年カンヌ国際映画祭でコッポラ監督が女性監督としては56年ぶりとなる監督賞を受賞した本作は、アメリカ南部の世間から隔絶された女子寄宿学園に暮らす7人の女性たちの心理描写や装いを美しく表現。負傷した北部の敵兵に遭遇し屋敷へと運び手当をするうち、女性に対し紳士的でかつ美しいその男性に心を奪われていく7人が、次第に情欲と危険な嫉妬に支配され、秩序を守るか、欲望を取るかの選択を迫られるさまを描く。
コッポラ監督はポップでガーリーな雰囲気を封印した初のスリラーとなった本作について「かねがねこの物語、アメリカの南部を舞台にした南北戦争時代の物語、その時代に生きた女性たちに興味を持っていた」と製作のきっかけを紹介。「たいへん稀な作品。ほとんどの出演者が女優さん。男優さんはほとんどいない」と述べると、「10代から40代まで、こんなに年代の違う女優さんたちと仕事をしたのは初めて。自分なりにこの年代の男性たちと出会ったらどういう気持ちになるんだろうということを想像しながら物語を描いていました」とにっこり。
この日は、花束ゲストとして女優の草刈民代も登壇。草刈はコッポラ監督を前に「本当に美しい映画」と本作を絶賛し、「でもとっても厳しい映画だとも思いました。これはスリラーというより生きていく上で、もしこういうことが起こったらって思わず考えさせられてしまうような映画」と形容し、「人物がとてもリアル。説明がないのにシーンの積み重ねにだけで物語がわかりやすく展開していく。それは監督の作品に共通する大きな個性だと思います」とコメント。「今回の作品も少女たち一人一人がどういう子か見ているととってもよく分かるんです。それぞれ個性があって違っている。それを表現できるのはすごいことだと思いました」と感心の表情を見せた。
また、コッポラ作品には以前から親しみを持っていたという草刈は、コッポラ監督が以前に日本で撮影した『ロスト・イン・トランスレーション』(2003年)に絡め、「また日本を舞台に映画を撮る予定はありますか?」と質問。コッポラ監督はこれに嬉しそうな表情。「残念ながら具体的なプランはまだありません」としつつも、「わたしはそもそも日本に滞在することが大好き。日本の伝統や文化をまた映画にできたらいいな」と話していた。(取材・文:名鹿祥史)
映画『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』は2月23日よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国公開