大林宣彦監督「ガンごときで誰が死ぬか」現役続行宣言
肺ガンにより、一時は余命宣告を受けたことを明かしていた大林宣彦監督が12日、都内で行われた「2017年第91回キネマ旬報ベスト・テン表彰式」に出席。『花筐/HANAGATAMI』で日本映画監督賞を受賞した大林監督は杖をついて壇上に立ったが、病を感じさせない力強いスピーチを披露した。
【写真】菅田将暉、蒼井優、田中麗奈…第91回キネマ旬報ベスト・テン表彰式
大林監督は壇上に上がると「映画を愛する皆さん、本当にありがとうございます」と優しい表情で挨拶。反戦3部作の一作となった本作について、「わたしは制度というものが大嫌い。制度が戦争を生むんです。映画は自由に作りたい。だから今回は制度から外れた映画を作りました。制度から外れて作ったのでこんなものは映画じゃないと言われるものの代表的な作品になりました」と紹介。「でも、それがどうやら映画の仲間入りをさせてもらったようです。わたしが映画監督賞というのはなかなか面白い」と受賞を喜んだ。
司会者から「お体大丈夫ですか?」と体調を気づかわれる一幕もあったが、「ガンごときで誰が死ぬかと思ってます」と笑顔で一蹴。「先輩の新藤兼人監督は90歳を超えても映画を作った。わたしもあと30年は映画を作りたい」と力強く述べた。
「キネマ旬報読者賞」を受賞した立川志らくから「憧れの大林監督と同じステージに立ち同じ賞をいただけて光栄です」と声をかけられると監督は嬉しそうな表情を見せ、志らくのもとに歩み寄る場面も。
志らくは「(以前に)『志らく君はもっと芸能の神様に可愛がってもらえるよ』と言ってくださったことがあるんです」と大林監督とのエピソードを懐古。「あの大林監督からそう言ってもらえたんだから自分はやっていけると自信を持つことができた。僕が自信を持って今やれているのは大林監督の言葉があったからです」と大林監督に頭を下げていた。
映画雑誌「キネマ旬報」が分野ごとにベストテンを選出する同賞の授賞式には蒼井優、菅田将暉、田中麗奈、ヤン・イクチュン、石橋静河、石井裕也監督、伏原健之監督、岸善幸監督も登壇した。(取材・文:名鹿祥史)