日本で暮らした監督だからこそ!『ピーターラビット』日本版宣伝の違い
美しく愛らしい絵本として世界中で親しまれてきたビアトリクス・ポターによる原作の舞台を現代に移し、ロマンチックコメディー映画『ピーターラビット』を作り上げたウィル・グラック監督が取材に応じ、キャストや、自身と日本との関係について語った。
本作でまず驚かされるのは、うさぎのピーターたちが荒らす農場の新しい持ち主を演じたドーナル・グリーソンの喜劇俳優としての力量だ。グラック監督は「悪者で敵、でもロマンスもあるという難しい役だ。ドーナルにコメディーの才能があることは、昔彼が出ていたアイルランドのコメディードラマを観て知っていたし、リハーサルをやってみてもわかった。バスター・キートンやチャールズ・チャップリンみたいなんだ」とドーナルを喜劇王たちと比較してたたえる。
体を使って笑わせるドーナルが対するピーターは、CGアニメーションだ。イギリスの俳優/コメディアンで、現在はアメリカのテレビ番組司会も務めるジェームズ・コーデンが声を担当した。しゃべり倒すところなど、そのままピーターのキャラクターになっているのは、配役に合わせ脚本&アニメを作っていったからだという。
東京大学で教鞭を執った日本研究家の母を持つグラック監督は、日本で暮らしたこともある。「だから、たくさんの日本の人がビアトリクス・ポターの家を見るため、イギリスの湖水地方に行っていることも知っているよ。日本用のポスターなどは“カワイイ”感じにしているんだ」とドタバタコメディー感を全面に押し出したアメリカでの宣伝との違いも明かした。
エマ・ストーン主演の『小悪魔はなぜモテる?!』やジャスティン・ティンバーレイク主演の『ステイ・フレンズ』といったヒットコメディーを放ち続けてきたグラック監督は、コメディー一筋だ。「最初に手掛けたのもテレビのコメディーの脚本だった。ドラマチックなシーンは飽きちゃうんだ。面白くしようとして、『だめだめ、ドラマチックに盛り上げて!』と言われたり。僕はコメディーが好きなんだよ」。
日本通でコメディー好きとくれば、ぜひ日本でコメディーを撮ってほしいところ。「上智大学に1年ほど通って、その頃、六本木のバーでも働いていたんだ。1990年代の中頃だけど、その時代の東京の映画を撮りたいと思っているよ」と実はもうプランがあるというから、そちらも楽しみだ。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)
映画『ピーターラビット』は5月18日より全国公開