16キロ増量にウツまで…シャーリーズ・セロンの徹底した役づくりを監督が明かす
現在開催中のトライベッカ映画祭(17th TFF)で話題の シャーリーズ・セロン主演最新作『タリー(原題)/ Tully』について、ジェイソン・ライトマン監督と、『マイ・ライフ、マイ・ファミリー』(日本劇場未公開)のタマラ・ジェンキンスが、4月19日(現地時間)、ニューヨークのBMCC、トライベッカ・パフォーミング・アーツ・センターで語った。
【作品写真】シャーリーズ衝撃の役づくりといえば『モンスター』
本作は、『JUNO/ジュノ』のライトマン監督と脚本家ディアブロ・コディが、『ヤング≒アダルト』でもタッグを組んだシャーリーズを再び主演に迎えたコメディードラマ。新生児を含む3人の子育てに追われて、日々疲れ切っていたマルロ(シャーリーズ)をみかねた弟クレイグ(マーク・デュプラス)は、彼女のためにベビーシッターのタリー(マッケンジー・デイヴィス)を雇う。懸念を抱きながらも、献身的にベビーシッターを続けるタリーを信頼するようになり……。
『JUNO/ジュノ』の後にディアブロと友達になったというタマラは、「彼女は『ヤング≒アダルト』の脚本を書いた時、最初にわたしに送ってきてくれたの。その時は、別のタイトルが付けられていたけれど、わたしは主人公がヤングアダルト小説を書いているし、大人になりきれない人物だから、タイトルを『ヤングアダルト』にすべきと勧めたわ。するとそれが後に監督することになったジェイソンの映画のタイトルになったわけ」と意外な接点を語った。
すでに『JUNO/ジュノ』『ヤング≒アダルト』でディアブロと組んできたライトマン監督は、今作について「最初にディアブロから本作を2文で説明した要約が送られてきたんだ。僕がその脚本を書きべきだと勧めると、6週間後にはメールで脚本が送られてきたんだ。しかも、撮影用の仕上がりでね。僕は、『マイレージ、マイライフ』の脚本を約7年かけて書いたから、彼女がどうやって脚本をこんなに早く仕上げたのか理解できなかったね!」と彼女の才能を称賛した。また、『JUNO/ジュノ』や『ヤング≒アダルト』との関連性については、「それぞれの映画の主人公は、人生においての時間軸を把握できていないんだ。『JUNO/ジュノ』では早く大人になりすぎた少女を描いていて、『ヤング≒アダルト』は大人になるのが遅すぎた女性を描き、今作では親になったことで強制的に成長しなければならない女性を描いているんだよ」と説明した。
シャーリーズについては、「僕にとって役者は二つのカテゴリーに分かれるんだ。一つは、まるでパペットのように監督の指示のもとにうまく演じられる俳優たちで、もう一つはその役柄に入り込んで演じる俳優たち。シャーリーズは、その両方に当てはまるんだ。彼女は撮影クルーや、カメラの配置、演技など周りに起きていることを100%理解しながら、さらに役柄に100%入り込んで、繊細に演じることができるんだ」と高く評価した。
16キロも増量したという役づくりについては、「彼女は今作のために、さまざまなものを食べるだけでなく、真夜中に起きて糖分や塩分の両方を取ったり、定期的に糖分を口に含んだりして、望んでいた体重にしていったんだ。(その過程で)うつになってしまったくらいなんだよ。今作の撮影は『アトミック・ブロンド』の後だったから、役柄に深く入り込みすぎて、ノーマルではない状況になっていたんだと思うよ」と限界ギリギリな状態で挑んでいたことを明かした。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)