悪名高き女子フィギュアスケーターを映画化!主演女優が語る素顔のトーニャ
映画『スーサイド・スクワッド』のハーレイ・クイン役などで人気絶頂のマーゴット・ロビーが、悪名高いフィギュアスケーター、トーニャ・ハーディングを演じた、『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(5月4日公開)について語った。オリンピック直前にライバル選手への襲撃事件に関わった嫌疑をかけられ、選手生命を絶たれたトーニャの、知られざる半生を描いた衝撃作だ。
1990年生まれのマーゴットは事件当時3歳半。トーニャのことは知らなかったが、ユニークな脚本に引きつけられ、主演・製作を兼任した。「これまでのどんな作品とも違う脚本だったわ。どうなるのか先が全く読めなかった。そして、(トーニャ)のキャラクターが大好きになったの。最初は、全く共通点を見つけられなかったけど、脚本を読み終わるころには、彼女に共感していた」。
母親や夫から虐待され、スケート衣装を自分で縫うほどの貧乏生活を送るなど、トーニャの過去は驚かされることの連続だ。マーゴットは「彼女は多くの困難に打ち勝ってきた。オリンピック選手になるだけでもすごいのに、お金もないところからそれを達成するなんて、本当に例外的な存在よ。彼女の決意と、生まれつきの才能がどれほどのものだったかを物語っていると思う」と感服。彼女を演じるにあたって、かなりのリサーチを重ねたといい「彼女を被害者だとは思わない。でも、すごく意志の強い彼女の、感情的に弱い一面を見るのは興味をそそられるのと同時に、胸が痛んだわ」と語る。
トーニャ本人とは、撮影に入る2週間前に初めて会ったと言う。「自分のすぐ目の前に彼女が座っているのは、とてもシュールな経験だったわ。でも、トーニャはとても素敵な人だった。私が彼女のことを心配する以上に、彼女が私のことを心配してくれていたの。『スケート(の練習)はどう?』とか、『(スターとして)公衆の目にさらされても大丈夫?』って」。
トーニャは長年、マスコミからジョークのような存在として扱われてきた。それだけに、完成した映画に対する彼女の反応がとても心配だったとういマーゴットだが、トーニャは気に入ってくれたという。「偏見のないトーニャを見せることが、私たち(製作陣)の目標だった。それは、彼女の良い部分も、悪い部分も見せることを意味していたし、過去のトラウマを見せることでもあった。虐待されるシーンを見るのは、つらい体験だったでしょう。でも、彼女側から見たストーリーを世間に見せることができたことは、彼女にとってもハッピーだったと思うわ」。
暴言を吐きまくる強烈なトーニャの母親を演じたアリソン・ジャネイは、本作で助演女優賞を受賞。マーゴットも主演女優賞にノミネートされ、惜しくも受賞を逃したが、授賞式は彼女にとって、一生の思い出になったという。この日、『スリー・ビルボード』で主演女優賞を受賞したフランシス・マクドーマンドは壇上で、客席にいる女性の候補者たちに、その場で立ち上がるように伝えた。
昨年からハリウッドでは、セクハラや男女差別撲滅を訴える「#MeToo」や「Time's Up」運動が盛んだった。フランシスは式の場で、ハリウッドがいかに女性の力で支えられているのかを訴えたのだ。「私の人生で最もスペシャルな瞬間だったわ」というマーゴットは「(主演女優賞候補だった)シアーシャ(・ローナン)、メリル(ストリープ)、サリー(・ホーキンス)がいて、私たちはお互いにハグしあったの。この半年間、ハリウッドの女性たちの間には、強い仲間意識が生まれて、絆がもっと強くなったと感じる。受賞するよりも良かったわ!」と笑顔で語った。(取材・文:吉川優子)