ウェス・アンダーソン『犬ヶ島』、主人公の少年を演じた期待の新星コーユー・ランキンを直撃!
『グランド・ブダペスト・ホテル』などのウェス・アンダーソン監督が、『ファンタスティックMr.FOX』に続いてストップモーションアニメに再挑戦した話題作『犬ヶ島』(5月25日 日本公開)について、主人公の少年の声を演じたコーユー・ランキンが、ザ・ペニンシュラ・ニューヨークで単独インタビューに応じた。
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本作は、近未来の日本の架空都市「メガ崎市」を舞台に、犬インフルエンザの蔓延によって犬ヶ島に隔離されてしまった愛犬スポッツを捜す少年アタリ(コーユー)と5匹の犬たちの壮大な冒険を描いた作品。
オーディションテープを何度か送った後、ニューヨークを訪れることになったというコーユーは、そのとき初めて今作がウェスの新作だと知ったという。「ニューヨークでは、5~6時間レコーディングをしました。それから僕が住んでいるカナダのバンクーバーでも、少し。その約1年後にプロダクションから連絡がきて、僕が少年アタリの役を手に入れたことがわかったんです。僕を選んでくれて本当に良かったと思っています」と当時を振り返った。ちなみに映画内で使用されている彼の声の多くは、ニューヨークでのレコーディング時のものだそうだ。
今作がデビュー作となったコーユーはレコーディング時、当然ながら、とても緊張していたそうだが、ウェスのおかげで楽しんで取り組むことができたと語る。「ウェス監督はとても優しくて、多くのアドバイスをしてくれたんです。監督がリラックスしていたことで、僕も落ち着くことができたと思います。僕が日本語のセリフを読んでいるときも、監督は日本語を話せないけれど、どのような感情でそのセリフを言えば良いか、しっかり指示してくれました」。結果、豪華声優陣が名を連ねる今作で主人公の声を演じるという、まさに大役を手にすることができたのかもしれない。
ちなみに、今作に出てくる犬の中ではレックスがお気に入りだそうで、「選ぶのはとても難しいけど、もし1匹選ばなければいけないのなら、エドワード・ノートンが演じたレックスが優しくて好きです」とコーユー。エドワードとは、ベルリン国際映画祭のプレミアで会えなかったのが残念だったと語った。
一方、そのプレミアで話ができて嬉しかったというのが、夏木マリだ。日本人の母親を持ち、日本語と英語のバイリンガルであるコーユーは、宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』を日本語で観ており、夏木が演じる湯婆婆/銭婆の声が大好きだという。「ベルリン国際映画祭でマリさんに会ったときに、『僕は『千と千尋の神隠し』のマリさんの声が大好きです』と伝えられたんです。実際に会ったマリさんはとても素敵な人で、『ありがとう!』と言ってくれました」と明かした。日本には年に2回ほど、祖父母に会うために訪れているそうだ。
今後については、「このまま俳優を続けたいし、もう一度、ウェス監督の作品に出演したいです。監督は頻繁に常連の俳優を使っていますし、僕もその仲間になりたいなと思います。どの作品も全て信じられないほど素晴らしいですから!」とウェスへラブコールを送った。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)