お笑い芸人の星田英利が俳優部に移籍 「宮本から君へ」で見せた演技力
よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属のお笑い芸人、俳優の星田英利が、6月1日付で俳優部に移籍することをブログで発表。移籍に至った理由の中で、テレビドラマ「宮本から君へ」(テレビ東京系・毎週金曜深夜0時52分~)への熱い思いを明かしていた。星田が演じたのは、恋に仕事に奮闘する文具メーカー勤務の新人社員・宮本浩の上司で、課長の小田三紀彦。彼をより俳優の道へと導くこととなった、本作での演技を振り返ってみた。
「宮本から君へ」への星田の出演が発表された際、「宮本を見守り、たしなめ、諭し、叱り、怒り、呆れ、というのを欲張って演じずに感情に身を任せること、そして原作がそうであるように、とにかく常に宮本に愛情を持つことを大事にしました」とコメントした星田。そして主演の池松壮亮から掛けられた言葉について言及し、「撮影終わりに2人でご飯を食べた時、池松くんから『星田さんの小田さん、すっごいいいんですよ。』と言われた時は『そう?』と何気ないふりをしましたが、本当に嬉しかった」と一言一言を噛みしめるように振りかえっていた。
星田ふんする小田課長は、若さゆえにすべを持たず熱意だけで突っ走る不器用な宮本を見守り、彼が落ち込んだときには自宅に招いて妻と共に慰めたりと、部下ととことん真摯に向き合う人情に厚い上司だ。人生の酸いも甘いもかみわけた懐の深さ、貫禄をにじませた星田の演技は、実年齢(46歳)がキャラクターに合っていることもあってか、見事にハマっている。
そんな星田の演技力の高さは随所に見られる。例えば、星田演じる小田が珍しく宮本を叱責し激高する一幕。部下の宮本の甘さを淡々と指摘したかと思えば、言い返す宮本に声を荒げた後に突き放してみせたり、1シーンの中で、さまざまな種類の怒りを体現してみせる。
星田はブログで、2005年のR-1ぐらんぷり優勝、2011年の朝ドラ「カーネーション」の撮影と、6年ごとに自分の中で何かが大きく変わる出来事や鳥肌が立つような作品との出逢いがあったことを述懐。2017年に撮影された「宮本から君へ」が、今後のキャリアにおいて俳優業に重きを置こうと決心したきっかけの一つであることも明かしている。
「心底、出逢えて良かった、続けてて良かった、と感じさせてくれた出演者、監督、スタッフさんたちの作品に対する情熱の波にずぶ濡れになって、またこういう場にいたい! また『カーネーション』や『宮本から君へ』のような作品に参加したい! と思い、そのきっかけが少しでも多くなるように俳優業に比重を置こうと移籍を決めました」。
「宮本から君へ」は、新井英樹の漫画を『ディストラクション・ベイビーズ』の真利子哲也監督がドラマ化。撮影に『散歩する侵略者』『海を駆ける』などの芦澤明子、キャストに柄本時生、華村あすか、新名基浩、古舘寛治、松山ケンイチ、高橋和也、浅香航大、酒井敏也、蒼井優らが名を連ねている。(編集部・石井百合子)