市川染五郎&市川團子、偉大な父への思いを明かす
『シネマ歌舞伎 東海道中膝栗毛 歌舞伎座捕物帖』公開を記念した舞台あいさつが「父の日」の17日に東劇で行われ、本作で親子共演を果たした八代目・市川染五郎(父は現・松本幸四郎)と市川團子(父は市川中車=香川照之)が出席し、父への思いを語った。
本作は、2017年8月に歌舞伎座で上映された舞台を映像化した、シネマ歌舞伎シリーズ第31弾。七代目・市川染五郎(現・松本幸四郎)ふんする弥次郎兵衛と、市川猿之助演じる喜多八のコンビが、アルバイト先の歌舞伎座で起こった殺人事件に巻き込まれるさまを描く。
この日、壇上で父親の印象を尋ねられた染五郎は、「変」と回答。その理由を「ポテトチップスは野菜じゃないのに『野菜だ』と言って食べているんです。それ以外にも数え切れないぐらい“変”なところがあります」と真顔で説明。一方、香川について「昆虫の心を理解している」と答えた團子は「家の至るところに昆虫の本があって、ずっと昆虫の本を読んでいる」と父のプライベートを明かしていた。
そんな、少し変わった父親像を明かした2人だったが、染五郎が「父は常に挑戦している。“挑戦”という言葉が似合う役者だなと思っています。代々挑戦している家系を受け継いでいるのはすごいと思います」と偉大な父の魅力に言及。團子も「歌舞伎ではないのですが、この前(香川が出演している)『ゆれる』という映画を観たのですが、感情を露わにする芝居がすごいなと思いました」と父の演技力に脱帽したという。
また、お互いの父親についての印象を聞かれると、染五郎は「中車(香川)さんは、映像の世界でもやられていて、ドラマなども観ていました。役の気持ちがしっかり伝わってくるお芝居はすごいです」と語る。團子は「アイスのうえで歌舞伎をやるなど、いろいろなことに挑戦されているすごい方なのですが、楽屋ではいたずらをするなど、とても仲良くさせていただいていて、ありがたいです」とおちゃめな一面があることを明かしていた。
「東海道中膝栗毛」は、今年も歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」で新作が上映されることになっており、猿之助、幸四郎、染五郎、團子の4人で“宙乗り(俳優が舞台や客席の上を吊られて移動する演出)”を披露する。團子は「4人で宙乗りをするのは、歌舞伎座では初めてと聞いています。昔から憧れていた宙乗りを、そんな舞台で、しかもこんな早い年齢でやらせていただけることは光栄です」と語ると、染五郎も「去年、猿之助さんがやられているのを見て『二人でできたらいいね』と言っていたので、実現できてうれしいです」と満面の笑みを浮かべていた。(磯部正和)