綾野剛、役者として生まれ変わった!『パンク侍』初日に感無量
俳優の綾野剛が30日、都内で行われた映画『パンク侍、斬られて候』初日舞台あいさつに出席し、「役者として生まれ変わったなという気持ち」と感無量の表情を見せた。
この日は北川景子、東出昌大、染谷将太、浅野忠信、永瀬正敏、村上淳、若葉竜也、渋川清彦、國村隼、宮藤官九郎(脚本)、石井岳龍監督も来場。映画上映後、ぼうぜんとした様子の観客に、綾野は「観ていただいた通り、ここに並んでいる皆さん、まともな人が一人もいません。そういう作品です。体調とか崩していないですか? 宣伝不可能と言い続けてきましたが、皆さんに観ていただいて初めて不可能が可能になる作品だと確信しています」と誇らしげな表情を浮かべた。
芥川賞作家・町田康の傑作小説を映画化し、自らを“超人的剣客”と豪語する浪人・掛十之進(綾野)が自らまいた種で起こる騒動に翻弄(ほんろう)されるさまを描き出した本作。「革命だと思いますね。虚構も壊していけばいいと。なかなか現実でできないことを映画だからこそ、スクリーンからはみだすことをすればいいと。それが結実したというか」と本作への熱い思いを語った綾野は、「役者として、また一回生まれ直したなという気持ちがあります」と感謝した。
綾野が「諸先輩方がムチャするので本当に大変でした」と語るほどに、個性豊かなキャスト陣が繰り広げる世界観はカオスそのもの。浅野たちの怪演に本気で笑ってしまったというカットも劇中では使われているといい、愛情を込めて「ひっでえ現場だったな」と綾野が振り返ると、東出も「みんなふりきってバカをやっていたので、現場は狂気ですばらしかった」と笑顔を見せた。
その言葉通り、この日のコメントでも個性を炸裂させた先輩俳優陣。「僕は綾野君と映画で3回くらい戦っているんですよ」と切り出した村上が、「息子の虹郎が『武曲 MUKOKU』で戦ったんだけど、綾野君から『ちゃんとやったから好きなギターを買ってやるよ』と言われたそう。でも僕は3回も戦っているのに、まだ言われていない」とふくれっ面になってみせたり、「アドリブで剛くんと言われたこともある」と綾野から申告された浅野が「そんなこと言ったっけ? 役になりきってたから分からない」ととぼけてみせたりと、自由にコメントをする先輩俳優たちの姿に会場は大笑いだった。
そんな同作の脚本を担当した宮藤が、「僕は中学生の時に石井監督の映画を観ておかしくなった。今の中学生がこれを観たらどうなるのか気になる」と語れば、石井監督も「映画を大事にしてくれる俳優さんたち、スタッフとこんなすごい映画を作ることができて感無量です。感謝しています」としみじみ付け加えた。(取材・文:壬生智裕)
映画『パンク侍、斬られて候』は全国公開中