『Mr.インクレディブル』エドナは日本人の血を引いていた!続編では日本要素も増
パリコレ常連のカリスマデザイナーにして、スーパーヒーローたちの万能スーツを手掛ける映画『Mr.インクレディブル』のエドナ・モードは、ヒーローたちも一目置く存在。ブラッド・バード監督はもともと彼女のことを「日本人とドイツ人の血を引く人物」だと考えていたようだが、ピクサーのコスチューム担当者たちは14年ぶりの続編『インクレディブル・ファミリー』の製作にあたって、初めてその事実を知ったのだという。
そのため衣装デザインを手掛けたブリン・イマギレは、今回彼女の新たなワードローブを作るために川久保玲、石岡瑛子、阿部千登勢といった日本人ファッションデザイナーをリサーチ。日本的な要素として“自然”からもインスピレーションを得て、シルクの着物風ガウンや、折り紙のように四つの部分が互いに重なり合うドレスを誕生させた。
同じく衣装を担当したディアナ・マルシアゼ(キャラクター・アーティスト)とフラン・カラル(テイラリング・リード)も、一番デザインしがいのあったキャラクターは「エドナ!」だと即答。フランは「彼女はとても背が低いのですが、とても強い。そしてとても手ごわい。だから、わたしたちは彼女に敬意を表しないといけません。彼女をMr.インクレディブルと同じくらい強く見せ、背景から一際目立つように、大胆な衣装にすることが大事でした」と振り返った。本当に小さなエドナだが、衣装の助けもあって確かにその存在感は随一だ。
ディアナいわく、アニメーションでの衣装デザインのプロセスは実写映画でのそれと基本的に同じで、エドナのデザインした服を考える時には「彼女はどこからインスピレーションを得るのか、何を言おうとしているのか」ということを突き詰めていったという。「それを考えているうちに、わたしの頭には“エドナはモデルが嫌いなのだ”ということが浮かびました。彼女はモデルを尊敬していないのです。だからわたしは、彼女が嫌う“モデルのためのデザイン”を考えてはいけなかったのです。エドナのファッションラインは“ヒーローが目的を達成するための道具”であり、それが彼女の信条なんです」
『インクレディブル・ファミリー』にはエドナデザインのヒーロースーツはもちろん、彼女と違ってパフォーマンス性よりもブランドや見た目を重視する新進デザイナーのヒーロースーツも登場する。その二つのスーツの違いや、前作よりも日本要素が増したエドナ自身の服に注目して観るのも楽しいだろう。(編集部・市川遥)
映画『インクレディブル・ファミリー』は公開中