高良健吾&行定勲監督、故郷・熊本への愛を語る
俳優・高良健吾と行定勲監督が、24日に都内で行われた映画『うつくしいひと/うつくしいひと サバ?』のブルーレイ&DVD発売記念チャリティートークイベントに登壇。熊本の魅力発信を目的に、熊本にゆかりのあるキャストが集まってスタートし、震災前後の熊本の姿を記録することになった本連作の撮影を振り返り、故郷への思いを口にした。
ともに熊本出身の2人。「僕はあんまり熊本愛はないんです。でも高良くんはすごくある」と控えめな行定監督に、高良は「一番長く住んでいる街は東京になりました。でもなんで熊本が好きなんだろう。やっぱり人が好き、仲間が好き。撮影で、自分は熊本について知らないことが多すぎると思いました」としみじみ。
さらに「『サバ?』を作るときの監督の行動力、スピード感がすごかった」と感嘆する高良に、行定監督も「地震直後の風景を見て、震源地にも行きました。ガレキが残っているうちにこれを映像に残すべきだ、撮ることが重要だと思って、高良くんにも(スケジュールで)無理を言って」と熊本愛をにじませた。
『うつくしいひと』は熊本の素晴らしさを世界にアピールするため、行定監督と熊本ゆかりの俳優らが集結。2016年4月に発生した熊本地震以前の美しい熊本の景色が映し出されており、復興のシンボルとして全国でチャリティー上映が行われてきた。その続編『うつくしいひと サバ?』は震災後、被害の大きかった益城町での撮影を敢行。「見慣れた風景がなくなり、地形すら変わって、言葉にならなかった。『言葉にならないこと』を表現するにはダンスしかないと思った」という行定監督の言葉通り、女優・ダンサーの石橋静河が踊るコンテンポラリーダンスも見所となっている。
イベント終盤には客席からの「『熊本人』って、どういう人?」という質問に、2人が答える一幕も。行定監督が「熊本の人って、僕に面と向かっては言わないけど、『行定が熊本でやれてんのは、おれのおかげじゃけん』って周りに言うタイプ。自己主張は強いけど、出しゃばってカッコ悪いのは嫌い」と笑わせると、高良も「さりげなくマウントを取りにくる。でも最後はユーモアで全部笑いにしてくる」と愛にあふれたフォローで和ませていた。
本シリーズのスピンオフで、高良も出演する行定監督の熊本映画第3弾『いっちょんすかん』も、今年4月の「くまもと復興映画祭2018」でプレミア上映された。熊本弁で「いっちょんすかん」は「まったく好きじゃない」という意味。だが頑固でシャイな熊本人は「大好き」の代わりでも、こう言うんだそう。
行定監督は「地震のあと、生きるか死ぬかで一枚岩になった美しい熊本を見ましたが、最近は、自分たちのペースを取り戻して『いっちょんすかん』と言い出しているんです。陰口、悪口が言えるくらいがいいっていうテーマで作りました」と熊本への思いは尽きぬ様子だった。(取材・文/岸田智)
『うつくしいひと/うつくしいひと サバ?』のブルーレイ&DVDはハピネットより発売中(本商品の売り上げの一部は熊本地震義援金として寄付される)