池松壮亮×蒼井優『斬、』ベネチアで喝采!約5分拍手やまず
第75回ベネチア国際映画祭
イタリアで開催中の第75回ベネチア国際映画祭で7日(現地時間)、塚本晋也監督の新作映画『斬、』(11月24日公開)の公式上映が行われ、俳優の池松壮亮、蒼井優、前田隆成、そして塚本監督の4人が参加。上映後はスタンディングオベーションが送られ、約5分間にわたって拍手が同映画祭のメイン映画館 Sala Grande に鳴り響いた。
公式上映の前に実施されたレッドカーペットイベントで4人は、サインを書いたり、一緒に写真を撮ったりとファンとの交流を楽しんだ。映画館に入ると拍手で歓迎され、席に着く前に名前が読み上げられると拍手はさらに大きくなった。
そして4人はベネチア映画祭の観客とともに本作を鑑賞。本編が終わってエンドロールが流れ始めるや拍手が巻き起こり、惜しみないスタンディングオベーションで祝福された。笑顔の4人は観客と一緒に手を叩いたり、深くお辞儀をするなどして感謝の気持ちを表していた。
その後の囲み取材でベネチア映画祭初参加となった池松は「こういう場所にくると、言いすぎかもしれないですけど映画って人類の叡智なんだなと感じられました。なかなか普段感じられないことを感じました」と感想を語った。蒼井は上映中の心境について「映画祭に慣れているお客様だと厳しいので『帰らないでくれ。帰る人が少ないといいな』と思いながらお客様を見たりスクリーンを観たりしていました。その緊張感が『映画祭にきているな』という感じがしました」と明かした。
塚本監督は「私の映画はスタッフも少なくて、小さい映画で、撮影現場も大変で。そこに俳優さんが果敢にも飛び込んでくれた。過酷な中で非常に協力的に頑張ってくれた」と感謝。「あんまり言って『あの映画出るとベネチア行けるぜ』って期待されるようになると困っちゃうのですが」と笑って前置きをしつつ、「俳優さんたちへの感謝の気持ちをこういう場で返せたらと思っています。(映画祭が開催されている)リド島に入る時のボートの爽快感を味わってもらいたいなと思っていたのでそれが果たせてホッとしました」と語った。
そして「若い俳優さんが自分の映画で育つのもこの年齢になると楽しみだったりして。次世代が羽ばたくのは嬉しいので前田くんにも羽ばたいてほしいと思って来てもらいました」と背中を押された若手俳優の前田は「今回、監督のご厚意で連れてきていただいて。(映画館で)たくさん拍手をいただいて、監督から羽ばたいてほしいと言われたので、僕はここで“死ぬ”わけにはいかないです」と力強い言葉で決意を述べていた。
本作は塚本監督が監督作品としては自身初となる時代劇に挑んだ作品。江戸時代末期という不穏な時代を舞台に、類まれな剣の腕を持つ浪人(池松)と、彼にかかわる人々を通じて生と死に迫っている。アカデミー賞の前哨戦として注目されるベネチア映画祭のコンペ部門に出品されている。(編集部・海江田宗)