『偽りなき者』監督×コリン・ファースら!原子力潜水艦で起きた惨劇描いた新作お披露目
第43回トロント国際映画祭
映画『偽りなき者』などで知られるデンマーク人監督トマス・ヴィンターベアがメガホンを取った新作『クルスク(原題) / Kursk』のワールドプレミアが現地時間6日、第43回トロント国際映画祭で行われた。2000年に起きたロシアの原子力潜水艦沈没事故を題材にした本作には、『リリーのすべて』のマティアス・スーナールツ、『007 スペクター』のレア・セドゥ、『キングスマン』のコリン・ファースら豪華俳優陣が集っている。
徹底的なリサーチで原子力潜水艦クルスクの惨劇に迫ったノンフィクション本「A Time to Die」を基にした本作。艦内で起きた爆発によって乗組員の多くが死亡し、生き残った23名も海底に閉じ込められ、酸素残量がどんどん減っていく中、官僚制が救出活動の妨げになるさまを息苦しくなるほどスリリングに描いた。マティアスがクルスクの指揮官、レアがその妻、コリンが救助の申し出をするイギリス海軍の上官を好演している。
ワールドプレミアにマティアスとレアを伴って登壇したヴィンターベア監督は、本作を国際色豊かなキャストを集めて英語で撮った理由について「僕はロシア語ができないから(笑)」と冗談めかしつつも、「脚本に書かれていたのは、恐ろしいけれど美しく、単なる悲劇ではなく人間性についての物語。ユニバーサルな物語だったんだ。だから誠実に描けば、どの言語で語られるかは重要ではないと思った」とコメント。ヴィンターベア監督絶賛の脚本を執筆したのは、『プライベート・ライアン』などのロバート・ロダットだ。
スリリングな脚本に加え、刻々と迫りくるタイムリミットを『シェイプ・オブ・ウォーター』などのオスカー作曲家アレクサンドル・デスプラの音楽が見事に強調している。しかしヴィンターベア監督によると音楽にはそれ以上の意味を込めたといい、「(まだ生きていると乗組員たちが)潜水艦をたたくリズム、秒針の音といったものを表現するだけでなく、僕たちは希望の音を奏でようと決めた。海底には希望はあまりないからね。それで彼はシンバルを使ったとてもナイーブなメロディーを見つけたんだ。それを聴いてすぐに気に入ったよ」と振り返っていた。(編集部・市川遥)
第43回トロント国際映画祭は現地時間16日まで開催