役所広司「いだてん」で25年ぶりの大河!嘉納治五郎役に「運命的なものを感じる」
2019年の大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」で、日本で初めてオリンピックに参加したマラソン選手・金栗四三(かなくり・しそう)の恩師であり、講道館柔道の創始者である嘉納治五郎(かのう・じごろう)を演じる役所広司。1998年に開催された長野オリンピックは現地で観戦していたというほどスポーツが大好きだという役所が、“日本スポーツの父”と呼ばれる嘉納を演じることへの思いや、自身のオリンピックの思い出などを熱く語った。
大河ドラマ58作目となる本作は、人気脚本家・宮藤官九郎がオリジナルで書き下ろす「知られざるオリンピックの歴史」に焦点をあてた物語だ。主役は、日本で初めてオリンピックに参加したマラソン選手の金栗四三(中村勘九郎)と、オリンピックの日本開催に尽力した田畑政治(阿部サダヲ)がリレー形式で務める。
役所演じる嘉納は、駐日フランス大使からオリンピックへの参加を要請され、1912年の「ストックホルム大会」に選手を送り出すことに尽力。その後、日本がスポーツ大国に成長した1930年には、嘉納が中心となり自国開催を目指し“東京オリンピック”招致活動を行った(結果は戦争などにより招致できず)。
講道館柔道の創始者であり、“日本スポーツの父”とも呼ばれる嘉納を、役所は「すごく立派な方。この時代に語学も堪能で、猛反対をされながら、選手をストックホルムオリンピックに導いた。この方がいなければ、日本のスポーツはどうなっていたかわからないですよね」と嘉納の功績を称える。
歴史的な偉人だが、宮藤脚本では、嘉納のコミカルな部分が色濃く描かれているという。「イメージとしてスポーツに尽力された方ということは知っていましたが、ここまでオリンピックに関わっていたというのは、この作品で初めて知りました。宮藤さんの脚本では、治五郎さんの陽気で楽観的なところが面白く描かれています。周りに迷惑をかけるときもありますが、歴史が動く時というのは、こういう人物がいないとダメなんだろうなと妙な説得力がありますね(笑)」
役所にとって大河ドラマは1994年「花の乱」以来、25年ぶり6度目。「宮藤さんの脚本は本当に面白く、今までの大河ファンとは違う層も観てくれるのでは」と期待を寄せると、粗削りだが繊細なところはとてもこだわっているという人物造形は、演じていてとても楽しいと、嬉々として語った。
また1964年の東京オリンピックについて「僕は長崎県にいましたが、日本中が浮き足立っていた気がします」と思い返す役所。8歳だった役所少年は、柔道無差別級決勝で、神永昭夫選手がオランダ代表のアントン・ヘーシンク選手に負けた試合が特に印象に残っていると当時を振り返る。
さらに1998年の長野オリンピックでは、スキーのジャンプ団体を現地で観戦していたそうで、会場のディスクジョッキーの「ウェイブしてください」というアナウンスに呼応し、一緒になってウェイブをした思い出も。スポーツが大好きな役所が、その父と呼ばれる嘉納を演じることに「運命的なものを感じている」という。
2020年には再び東京にオリンピックがやってくる。「嘉納さんはスポーツを通して平和や人の心の美しさを追求されていた方。2020年のオリンピックも、世界のお手本になるような大会になればいいですね」と期待を込めていた。(取材・文:磯部正和)
大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」は1月6日より放送(NHK総合20時~ほか)