稲垣吾郎『半世界』&『愛がなんだ』コンペ部門に選出!東京国際映画祭
第31回東京国際映画祭
稲垣吾郎が主演する映画『半世界』(阪本順治監督、2019年2月公開)と、岸井ゆきのと成田凌が共演する『愛がなんだ』(今泉力哉監督、2019年春公開)が、10月25日に開幕する第31回東京国際映画祭のコンペティション部門に選出された。
映画祭の顔となるコンペティション部門は、今年1月以降に完成した長編映画を対象に、世界109の国と地域、応募作品1,829本の中から厳選した16作品を上映。日本映画2作の『半世界』と『愛がなんだ』の選定理由については、「『半世界』は阪本順治監督のオリジナル脚本が素晴らしく、3人の友情物語を軸に、複数のエピソードを交えながらやがて命の通った夫婦のドラマとしても見事に結実していく」「恋愛ゲームは基盤にあるが、好きな相手に対する想いが究極の形を取るに至り、『愛がなんだ』は並の恋愛映画の枠を超えてゆく」と矢田部吉彦プログラミング・ディレクターがコメントを寄せた。また、それぞれのキャストにも触れ「自然な佇まいの稲垣吾郎は天性の映画俳優としての演技力をいかんなく発揮し、池脇千鶴が絶品の存在感で脇を固める」「コケティッシュな魅力が溢れる岸井ゆきの、ふてぶてしい説得力の成田凌の演技も特筆に値する」と評価している。
『半世界』は阪本監督が脚本も手掛けたオリジナルのヒューマンドラマ。40歳目前の男3人を通じて、「人生半ばに差し掛かった時、残りの人生をどう生きるか」という普遍的な葛藤や家族・友人との絆を描く。稲垣のほか長谷川博己、渋川清彦が共演。池脇は稲垣ふんする紘の妻を演じている。『愛がなんだ』は直木賞作家・角田光代の恋愛小説を映画化。28歳のOLテルコ(岸井)のマモル(成田)に対する一途すぎる恋模様を描く。第31回東京国際映画祭は10月25日から11月3日まで六本木ヒルズほかで開催。コンペ部門に選ばれた阪本監督と今泉監督のコメントは以下の通り。(編集部・小松芙未)
▼『半世界』阪本順治監督
『半世界』は、私が以前から書き溜めていた異なる2本のあらすじを融合させ、さらに換骨奪胎に臨んで作り上げた物語です。ある地方都市の同級生3人と、その家族や背景を淡々と紡いだものです。グローバリズムが叫ばれて久しいけれど、世界の一体化なんぞ、たかが経済のため。紛争も経済のひずみから。飯喰って働いて子孫を作って、こっちも世界じゃないのかよ。そんな想いが、この作品への動機となりました。そして、製作過程において、映画作りは自分の居場所を見つける作業ではなく、自分の中に他者の居場所を見つける作業だということを、あらためて知ることができました。新しい地図を携えて、未知なる土地へと。そんな私たちの新たな道行きを、ぜひご堪能ください。
▼『愛がなんだ』今泉力哉監督
誰かを心から好きだ、という感情を持ちながらも、それを伝えずにいる、という人はたくさんいると思う。それはやはり伝えないからこそ保たれている関係性が壊れるのを恐れているからだ。「好き」という言葉から逃げながら、それでもマモちゃんのそばにいたいテルコ。それは角度によってはストーカーやサイコパスに見えるかもしれない。でもストーカーやサイコパスになる可能性がない恋愛なんて存在するのだろうか。それを愛と呼べるのだろうか。テルコをはじめとした、〈誰かを思いきり好きな登場人物たち〉に嫉妬しながら、また、その好意が持つ温度に気をつけながら、この映画を作りました。みなさまにも楽しんでもらえれば幸いです。