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樹木希林さん最後の主演作『あん』今日から追悼上映 新ビジュアルも公開

『あん』追悼公開版の新ビジュアル
『あん』追悼公開版の新ビジュアル - (C) 2015映画『あん』製作委員会/COMME DES CINEMAS/TWENTY TWENTY VISION/ZDF-ARTE

 9月15日に死去した女優・樹木希林さん最後の主演映画『あん』の追悼上映が本日21日より始まり、新しいビジュアルが公開された。

『あん』予告編

 『あん』はドリアン助川の同名小説を、『殯(もがり)の森』などの河瀬直美監督が映画化した人間ドラマ。樹木さんは元ハンセン病患者の老女・徳江にふんし、病に人生を翻弄されながらも尊厳を失わずに生きようとする姿を通して「生」の意味を問い掛けた。永瀬正敏が徳江との出会いによって人生を見つめ直すどら焼き店の雇われ店長を演じ、樹木さんの孫娘・内田伽羅の出演も話題になった。

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 追悼上映は多くの興行関係者から「追悼上映をしたい」という声が上がったことで実現。イベント上映なども含め、19日までに約90スクリーンでの上映が決まった。イオンシネマでは9月21日から板橋、シアタス調布、大高など29スクリーン、9月28日から多摩センター、みなとみらい、豊川など33スクリーンで上映される。その他の劇場は9月22日以降に順次約30スクリーンでの上映が予定されている。2015年5月30日の映画公開時は、77スクリーンでの上映だった。上映回数などの違いから単純に比較はできないが、多くの劇場から追悼上映の希望があることは、映画界になくてはならない存在だった樹木さんに対して追悼の意を表したいという表れだろう。イオンシネマでは「樹木希林さん 特集上映」として、9月28日より『モリのいる場所』も上映される。

 樹木さんは『あん』公開時に次のようなコメントを残している。「ドリアン助川さんの原作を読んで深く感銘を受けました。自分が全く知らない世界-閉じ込められた人生-を知るという機会に巡り会い、実際の元患者さん達にはすぐに会いにいきました。彼等から日々の生活のこと等を聞き、過去には隔離されて生活していた方々のことを全く知らないで今に至る自分を恥じました」。そして樹木さんはこの映画のテーマを広く伝えようと、積極的にさまざまな場所へ赴いた。スポンサーがほとんどついてない市民上映会では謝礼金(出演料)を受け取らず、宮崎映画祭にはマイレージがたまっているからと自ら交通費を負担して出掛けたという。

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 作品のために全身全霊をささげた樹木さんの訃報に接し、河瀬直美監督、原作者のドリアン助川、そして永瀬正敏がコメントを寄せた。(編集部・小松芙未)

河瀬直美監督

希林さん

あなたと過ごした様々な光景を思い返しています。
今年に入って希林さんの事を想う時間が増えて、何度か電話をして直接お話をしました。
具合が良くないことがニュースで知らされても、
どこまでも元気で毒舌で、変わらない希林さんがそこにいました。
希林さんはそうして私たちの前から弱ってゆく自分の肉体を想像できなくさせ、
いつまでもあの元気な笑顔のままで私たちの中に永遠を創り上げたかったのだと、悟りました。
あなたは、最期まで女優でした。

昨日、ふと、希林さんを想いました。
連絡しようとしたけれど、映画『あん』の徳江さんのように、
希林さんは、わたしの心に直接訴えかけるように、そこでただ微笑んでいました。
ああ、永遠だ。この笑顔はわたしの中で永遠に生き続けるのだ。

この時代を、その類いまれなる才能と、そして多くの努力により、
日本を代表する女優として君臨し続けた樹木希林さんが、最後に求めたものは、なんだったのか・・それを今考えています。
「そんなに難しいこと考えてないわよ」と背中をたたいて一喝されそうですが、
彼女が夢見た世界には、日本の才能ある俳優がボーダーラインを軽々と越え、
独自の意志による表現をまっとうする姿があったのではないでしょうか?

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それを証拠に、そのような姿勢で表現をまっとうしようとしている俳優さんを紹介してくださることもありました。
また、「日本の俳優さんは河瀬組を体験するべきだ」と発言してくださる機会もありました。
そうして、認めていただける現場をご一緒したことは、間違いなくわたしの財産です。

樹木希林さんは、監督の伝えたいことを瞬時に理解し、具現化できる真の俳優でした。
最後まで女優を演じ続ける姿勢。その潔さと儚さを、今、かみしめています。
耳元に響く「河瀬さーん、あなた、がんばってるわね~」と、いつも背中を押してくれたその声を思い返しています。
そして、電話の最後にはいつもわたしの家族のことを気遣ってくれました。
だから、今日は、最後にわたしも希林さんのご家族のことをおこがましくはありますが、労いたいと思います。

ややこさん、最期には希林さんをおかあさんとして看取ってくださってありがとうございました。
希林さん「ややこが居てくれて心強い」と、わたしには静かに語っておられました。本当にそのとおりだと思います。
立派な女優樹木希林から解き放ち、ひとりの優しいお母さんのご逝去に際し、心よりご冥福をお祈りいたします。

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希林さんが扮した「あん」の徳江さんの最期の言葉を送ります。

「私たちはこの世を見るために、聞くために、生まれて来た。
 だから、何かになれなくても、私たちには、生きる意味があるのよ」

映画監督 河瀬直美

ドリアン助川

覚悟していたこととはいえ
現実にこうなってみると、こんなに涙がでるのかと思うほどあふれました。

「あん」の徳江役を全身全霊で生きてくださり世界の様々な場所へ一緒に旅をしてくださったことは生涯、忘れません。
希林さんが また演技をしたいと思ってくださるような作品を書き続けたいです。

ドリアン助川

永瀬正敏

こんな事、信じたくありません。
希林さん、ずっとずっと愛してます。

永瀬正敏

映画『あん』予告編 » 動画の詳細
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