村上虹郎、狂気じみた役に広瀬アリスが怖がるほど没頭
俳優の村上虹郎が17日、テアトル新宿で行われた主演映画『銃』(公開中)の初日舞台あいさつに登壇。自他ともに認めるほど、狂気をはらんだ役に没頭していたことが語られた。舞台あいさつには広瀬アリス、リリー・フランキー、日南響子、新垣里沙、岡山天音、後藤淳平(ジャルジャル)、原作者の中村文則、武正晴監督、奥山和由プロデューサーも参加した。
芥川賞作家・中村文則のデビュー作を映画化した同作は、手に入れた拳銃の魅力に支配された大学生・トオル(村上)が、徐々に狂気をはらんでいくさまを描いた衝撃作。第31回東京国際映画祭で、武監督が日本映画スプラッシュ監督賞、村上が東京ジェムストーン賞を受賞した話題作だ。
中村は「原作者が舞台あいさつに来るのもなと思ったけど、お礼と、皆さん大変な役だったのでお詫びをするために来ました」と話し、同作に大満足の様子を見せた。その中村の作品について、村上は「主人公がニコチンとカフェインを狂気じみた方向で摂取することが多い」と見解を示すと、「肉体的にも精神的にも中村文則ワールドにアリ地獄のように引きずり込まれて、いつ抜け出せるんだろうかと思っていました」と撮影中を回顧した。
また撮影は、中村が原作を執筆した当時住んでいた高島平で行われたため、「武さんは環境から完璧に用意してくださるので、役者個人では築けないものができあがっている中で、ただ真っ直ぐに演じるだけでした」と役に集中できたことも打ち明けた。
そんなこともあり、ヒロイン・ユウコ役の広瀬は「やっと本性というか、性格がしっかりわかりました。正直、現場にいる時は怖かったです。あんまり近くにいたくないと思うくらい狂気じみていた」と暴露すると、「全然表情が違うので、今は話しかけやすい」とにっこり。
警官役の後藤も「本読みも台本を読むだけかと思ったら、虹郎くんは(役に)入り込んで、ウワーと言いながら机を叩いたり(するから)ヤバイとこ来てもうたなと思った」と苦笑い。しかし、一人で楽屋にいる時、村上がビートルズの曲をかけてくれたことを紹介しつつ「たまたまかと思ったら、僕がビートルズを好きなことを調べて、わざわざかけてくれた。すごい気の使える二十歳」と舌を巻いた。
この日、時間を間違えて遅れて登壇した刑事役のリリーも「親のいいところだけをもらった感じ。才能も性格もフラットで一生懸命。短い時間ですけど楽しかった」と、俳優・村上淳を父に、歌手・UAを母に持つ村上のとりこになっているようだった。(取材:錦怜那)