有村架純、結婚観を語る「理想は30歳までに」
最新主演作『かぞくいろ-RAILWAYS わたしたちの出発-』(全国公開中)で、初のシングルマザー役に挑んだ女優の有村架純。結婚、そして夫の死によって子どもを女手一つで育てることになった主人公・晶(あきら)の愛と苦悩の日々を、等身大の演技で表現してみせた。映画を通して「将来、自分はどんな家庭が築けるのかちょっぴり不安になった」と語る有村が、頭の中でイメージする「理想の結婚像」を明かした。
同作は、地方のローカル線を舞台にしたヒューマンドラマ『RAILWAYS』シリーズの最新作。夫・修平(青木崇高)の突然死によってシングルマザーとなった晶(有村)が、連れ子の駿也(歸山竜成)、義父の節夫(國村隼)と慣れない共同生活に四苦八苦しながら、鹿児島と熊本を結ぶ「肥薩おれんじ鉄道」の運転士をめざす姿をエモーショナルに描く。
映画『3月のライオン』(2017)や『コーヒーが冷めないうちに』(2018)、さらには連続ドラマ「中学聖日記」(TBS系で放送中)など、年齢とともに大人の女性を感じさせる女優として成長し、着実に演技の幅を広げてきた有村。現在、25歳の彼女に、今回、ついに母親役が舞い込んだ。「わたしも晶と同じ年で、友だちのなかには結婚して子どもがいる人もいるので、そう遠い話ではなく、現実的といえば現実的。ただ(劇中では)家族のカタチが複雑なので、その辺りは演じるのが難しいなと思いましたね」と振り返る。
確かに母子関係は複雑で、晶は一筋縄ではいかない環境に置かれているが、作品を通して、結婚すること、子どもを持つこと、そして家庭を持つことを改めて考えさせられたと有村は言う。「晶を演じることでちょっぴり不安になったというか、『大丈夫かな? わたし』みたいに思うことは増えましたね。『将来、自分はどんな家庭を築いているのか』全く想像がつかないですから」と苦笑いを浮かべる。
将来のことは誰にもわからないが、夢を見るのはそれぞれの自由。有村の頭の中にも「理想の結婚像」みたいなものはあるのだろうか? 「やっぱり穏やかに過ごせる家庭が一番ですが、でもどうなんでしょう。みんながみんな、いつも一緒にいなきゃいけないとか、そういう窮屈なのもどうかなって思うんですよね。それぞれが自由にやりたいことをやれるような環境づくりというか、みんなが自然体でいられる、そんな家庭が個人的には理想ですね」と想像を膨らませた。
晶同様、「自分も大切な人にとことん『尽くす』タイプ」だと語る有村は、さらに理想の結婚について言葉を続ける。「子どもは、授かることができるのであれば絶対にほしいですね。そう考えると理想の年齢は30歳くらいになるのかな」とニッコリ。女優業については「そのときになってみないとわからないです。『育児に専念したい』『家庭を第一に考えたい』と思うかもしれません。でも、お芝居のお仕事が大好きなので、理想を言えば両立させたい」と本音も。
劇中、反抗期の子どもと対峙するシーンもあるが、子どもの反抗期について有村は「いつか『うるさい!』とか『あっち行け!』とか言われるんでしょうね(笑)。でも、それもなんというか、その時期ならではの『醍醐味』という風に捉えていきたいです。瞬間瞬間が尊いものだから。いずれ大人になる子どもの反抗期も、『今しかないこと』として、変化を楽しんでいける母親になれたらいいなと思います」。そう笑顔で語る有村の表情には、こころなしか、母性があふれていた。(取材・文:坂田正樹)