2.5次元の行く末とは「刀剣乱舞」鈴木拡樹が語る!
名だたる刀剣が戦士へと姿を変えた“刀剣男士”たちが、歴史を守るために戦う刀剣育成シミュレーションゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」を原案に実写映画化された『映画刀剣乱舞』で、舞台版同様、三日月宗近を演じている俳優の鈴木拡樹。ゲームやアニメの世界を実写で再現した2.5次元で活躍を続ける鈴木が、作品の魅力や、2.5次元の行く末、さらには「2.5次元俳優」と呼ばれることについて率直な胸の内を明かした。
歴史修正主義者たちが過去に攻撃を仕掛けた西暦2205年。彼らの野望を阻止するために、顕現(けんげん)した“刀剣男士”たちが、織田信長が暗殺された「本能寺の変」の歴史的事実を守るために、タイムスリップするストーリーが映画ならではのカメラワークで展開する。
舞台版でも三日月宗近を演じた鈴木は、映画化の話を聞いたとき「最初はピンとこなかった」と明かす。もともと鈴木は「『刀剣乱舞』の世界観は映画やドラマ向きのストーリーだと感じていたのですが、舞台化されたことにより、映像になる感覚を忘れてしまっていったんです」と述懐。しかし、徐々に作品に出会ったときの感覚を取り戻していくにつれ、「刀剣乱舞」が実写映画化されることの魅力を強く感じるようになっていったと明かす。
一番の魅力は、さまざまな時代にタイムスリップするといった特性上、詳細な時代設定を細かく描写できること。さらに「アクションシーンにおいても、細かいカット割りやアングルを駆使することで、より迫力のあるものを届けられると思うんです」と映像化することの意義も語る。舞台版では2.5次元の表現を心がけていたが、映画では、よりリアリティーを重視した3次元の要素を意識したそうだ。
舞台と映画の演じ分けについてさらに問うと「元がゲーム作品なので2次元に寄った芝居は、そもそも難しいものなのですが、(舞台は)より原作に忠実に芝居をするイメージです。逆に映画は人間の生々しさが大事になってきます」といった答えが返ってきた。
2.5次元という言葉について、鈴木はどんな印象を持っているのだろうか。「そもそも2.5次元って、舞台を見に来てくれたお客さんが使っていた言葉だと認識しています。僕としてはあまりジャンル分けする必要はないと思うのですが、そういう表現をしてくれることで、自分自身も、いまどのような芝居をしていたのか気づきがありました」。
また、カテゴライズされることによるメリットも。「2.5次元がジャンルとして取り上げられるようになったことで、僕自身も多くの人に認知していただけました。それっていろいろなことにチャレンジするチャンスをいただけているということなんです」。
一方で「2.5次元俳優」と呼ばれることについては「良い面と悪い面の両方あると思います。成長段階のジャンルであるがゆえの厳しい目ももちろんあります」と心情を吐露する。それでも「最初のデビューから関わってきたジャンルでもあり、僕にとってはマイナスだと思ったことはまったくないです」と断言する。
2.5次元のコンテンツは、海外でも浸透し始めているジャンルだ。「美少女戦士セーラームーン」や「NARUTO-ナルト-」などのミュージカルは、アジアやアメリカでの上演も行われている。鈴木は「自分の予想を超える成長をしています。後々は日本文化の一つとして認められていってほしいです」と今後、さらなる飛躍を遂げるジャンルになっていくことに大きな期待を寄せていた。(取材・文・撮影:磯部正和)