機動戦士ガンダム「閃光のハサウェイ」富野由悠季が映画化に期待<コメント全文>
人気アニメ「機動戦士ガンダム」シリーズの生みの親である富野由悠季が、自身の小説を原作とする劇場版三部作『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の制作にあたって、「映画化に期待する」と題したコメントを発表した。
「閃光のハサウェイ」は富野が1989年に発表。アムロ・レイとシャア・アズナブルの激突を描いた、映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(1988)後の宇宙世紀0105年を舞台に、アムロの戦友ブライト・ノアの息子であるハサウェイ・ノアが、新型モビルスーツ・Ξ(クスィー)ガンダムを駆って、地球連邦政府に反旗を翻す姿を描く。
コメント内で富野は、発表から30年以上を経た映像化、さらに三部作構想に驚きを覚えたとしながらも「原作者として嬉しい」と一言。関係者から本作のテーマが現代にこそ必要だと判断したうえでの決定と聞き、あらためて内容をチェックしたといい、そこで気づいた驚きと共に「製作する世代が若くなり、それを享受する観客がさらに若くなれば、それら次の若い世代が、いつか人の革新 --ニュータイプ--への道は拓いてくれるのではないかと信じるのである」と希望を明かしてる。
映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』は、シリーズ1作目から続く世界観・宇宙世紀(U.C.)100年以降の歴史を終わりまで描く「UC NexT0100」プロジェクトの第1弾『機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)』(公開中)に続く作品として、2020年の冬から公開予定。
監督は『虐殺器官』(2017)などの村瀬修功。脚本は『機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)』シリーズのむとうやすゆき、キャラクターデザイン原案を「機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争」「超時空要塞マクロス」などの美樹本晴彦、キャラクターデザインを pablo uchida、恩田尚之、工原しげきが担当し、メカニカルデザイン原案には森木靖泰、メカニカルデザインはカトキハジメ、山根公利、中谷誠一、玄馬宣彦、音楽は澤野弘之が手掛ける。(編集部・入倉功一)
<原作者:富野由悠季のコメントは以下の通り>
映画化に期待する
30年ちかく前に書いたノベルスの映画化は、原作者として嬉しい。まさかという驚きがあった、しかも三部作。製作関係各位から、本作のテーマは現代にこそ必要だと判断をされてのことだと聞けば、あらためて内容をチェックした。そして、また呆然とした。
現実の世界は進歩などはしないで、後退しているかも知れないのだ。だから、ガンダムのファンの皆々様方が牽引してくださった道筋があったおかげで、今日、本作のテーマが現実にたいして突きつける意味があると知ったのである。
その意味では、本シリーズを牽引してくださった皆様方に感謝をするだけである。
同時に、諸君等ひとりびとりも本作のメッセージの希望である解決策を次の世代は開拓してもらいたいと願ってのことでもあろうとも想像する。
すなわち、大人になったガンダムファン世代は、ファンの力だけではリアリズムの閉塞感と後退感を突破する力はなかったと自覚もしたからこそ、その申し送りを本作に託していらっしゃるのではないかとも想像するのだ。
アニメがリアルである必要はないのだが、映画という公共の場に発表されるものであるのなら、少なくとも幅広く若い公共に響くものであっても良いのではないかと信じるのである。
製作する世代が若くなり、それを享受する観客がさらに若くなれば、それら次の若い世代が、いつか人の革新 --ニュータイプ--への道は拓いてくれるのではないかと信じるのである。