平手友梨奈、ソロで歌う『響』主題歌は「歌詞に共感できた」
昨年9月、映画『響-HIBIKI-』で衝撃的なスクリーンデビューを飾った欅坂46の平手友梨奈が、映画公開から5か月がたったいま、いまだCD化されていない幻の主題歌「角を曲がる」や、約1年間を費やした映画への取り組みなどについて、改めて振り返った。
平手友梨奈『響-HIBIKI-』の撮影を笑顔で振り返る【動画】
15歳の女子高生が、天才小説家として文壇に強烈な一撃を食らわせる柳本光晴の人気漫画「響~小説家になる方法~」を実写映画化した本作。非常にエキセントリックな主人公・鮎喰響を演じた平手には、実写化発表の際から原作者をはじめ多方面から「響にぴったり」という声が上がっていた。
実際、映画が公開されると、まるで響が乗り移ったかのような平手の佇まいは、原作ファンをも唸らせた。平手自身は「演じている感覚ではなく、ただ自然体でいただけ。周囲から『響になっていたよ』と言っていただきましたが、自分ではわからない」と技術的な部分で“演じている”という感覚はまったく意識になかったと証言する。
芝居だけではなく、平手がソロで歌う主題歌「角を曲がる」は、公開と同時に非常に大きな話題となった。特に<周りの人間(ひと)に決めつけられた 思い通りのイメージになりたくない>や<らしさって 一体何?>という歌詞には、強いメッセージ性が内在しているように感じられる。「秋元(康)さんが、わたしと響のことを思って書いてくださったと聞きました。共感するところも多く、歌いやすかった」(平手)
撮影から、プロモーション、公開、そしてDVD&ブルーレイ発売まで、約1年という長い期間“映画作り”に携わった平手。「まだ自分がどんなことを得たのか実感がない」と語っていたが「やり切ったこと」は大きな意味があるのかもしれないと話す。
クランクイン前、すべてが未知の世界だと話していたが、映画が公開され、少し時間がたったいま、改めて映画の現場を振り返ってみると、アーティスト活動と共通する部分が多かったという気づきがあった。「一つの作品に対して、スタッフさんたちとみんなで向かっていくことに変わりはないですし、撮影期間の長さはありますが、セリフを覚えることと歌詞を覚えることは似ているし、リハーサルや衣装合わせも、MV撮影やコンサートのときにはありますから」。
グループから離れて作品に参加したことについては「グループにいて大変なこともあるし、逆にグループにいるからこそ、いいこともある。女優という仕事は一人なので、きっと大変なことはあるんだろうな」と思っていたそうだが、撮影当時は役に没頭していたので、余計なことはなにひとつ考える余地はなかったようだ。ただ「欅坂46の一員なんだ」という気持ちは、抜けることはたぶんないという。
平手は『響-HIBIKI-』出演によって、日本アカデミー賞新人俳優賞などの映画賞を受賞した。「スタッフさんとご飯に行ったときに『おめでとう』と言われると、『響-HIBIKI-』という映画のために、ありがたく受賞させていただこうという気持ちになります」と笑顔を見せる。映画を通じて「いろいろな人と出会えた」と語った平手。まだ、その出会いがどう広がっていくかはわからないというが、新たな可能性の一つを掴んだことは間違いない。(取材・文:磯部正和)
映画『響-HIBIKI-』ブルーレイ&DVDは3月6日に発売・レンタル開始