『移動都市/モータル・エンジン』に『ハウルの動く城』の影響は?監督が語る
車輪で動き回る都市が互いを喰い合うようになった未来を描いた映画『移動都市/モータル・エンジン』のクリスチャン・リヴァーズ監督がインタビューに応じ、制作にあたって宮崎駿監督作『ハウルの動く城』から影響を受けたのか否かについて語った。
【動画】都市が都市を喰う!『移動都市/モータル・エンジン』冒頭9分間映像
作家フィリップ・リーヴが2001年に発表したファンタジー小説「移動都市」を基にした本作。それまでの文明を一瞬で荒廃させた最終戦争後、残された人類は移動型の都市を創出。凶悪なロンドンが捕食した都市の資源を再利用し、人間を奴隷化することで成長し続ける中、激しい怒りを抱えた一人の少女が反撃へと立ち上がる姿を活写している。
都市が大地を動き回るさまは『ハウルの動く城』を思わせるが、リヴァーズ監督は「そうだね(笑)。ハヤオ・ミヤザキの映画は大好きだ。僕の家族もみんな好きだよ。だけど、本作は『ハウルの動く城』というよりも『天空の城ラピュタ』に近いかな」と明かす。参考にするために見直したりしたわけではないものの、『モータル・エンジン』を制作するべく人々を説得していた時、本作に一番近い映画は『天空の城ラピュタ』なんじゃないかと感じていたという。
「もちろん『ハウルの動く城』には“動く城”が出てくるけど(笑)、魔法が占める割合も大きい。『天空の城ラピュタ』にはロボットや大きな飛行船が出てくるし、スケールやそこで描かれるテクノロジーは『モータル・エンジン』と近いものがあると思う。だけど、ミヤザキ映画は唯一無二だ。もし僕たちが、人々がある意味“実写版ミヤザキ映画”を観ていると感じられるような映画を作れたのだとしたら……ストーリーテラーとして自分をミヤザキサンと比較しているわけじゃないんだよ、全くね!(笑) もし“視覚的な部分”で、人々が『モータル・エンジン』をミヤザキ映画のような想像の世界だと感じてくれたならば、この映画は成功したと言えると思うな」とほほ笑んだ。
『キング・コング』でアカデミー賞視覚効果賞を受賞したこともあるリヴァーズ監督と、これまでに6度のオスカーに輝くWETAデジタルが作り上げた移動都市の世界は圧巻。何層にも積み重なってセント・ポール大聖堂を戴き、小都市を喰い荒らしながら進むロンドンの存在感はすさまじい。リヴァーズ監督は「デザインのプロセスは、いかに映画のためにユニークな世界を作るかというものだった。ディストピア映画はたくさんあるけれど、ああした陰気な場所には住みたくないよね。この映画では観客がそこを訪れてみたいと思うようなものにしたくて、ロンドンもそうやってデザインしていったんだ」と振り返っていた。(編集部・市川遥)
映画『移動都市/モータル・エンジン』は公開中