フェリシティ・ジョーンズ、演じたのはマントなしのスーパーヒーロー!
映画『博士と彼女のセオリー』や『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』のフェリシティ・ジョーンズが来日時にインタビューに応じ、新作『ビリーブ 未来への大逆転』で演じた“スーパーヒーロー”について語った。
『ビリーブ 未来への大逆転』が描くのは、86歳にして現役の米最高裁判事ルース・ベイダー・ギンズバーグ(RBG)の半生だ。主席で名門大学を出たものの女性だからという理由で弁護士になれず、やむなく大学教授となったルースが、不断の努力によって法廷に立ち、それまで当たり前だった性差別に一石を投じる裁判に挑むさまを追う。ルースの甥であるダニエル・スティエプルマンがその関係を生かし、史実に忠実でありつつエモーショナルな脚本を執筆した。
ルースが男女平等への道筋を作り、人々のアイコンである“RBG”となるまでを描く本作を、メガホンを取ったミミ・レダー監督は「スーパーヒーローのオリジンストーリー」と表現していたが、フェリシティもその通りだと感じているという。「彼女はまさにスーパーヒーロー。マントなしのね。だからわたしとしては、最高のタイプのスーパーヒーローだと思う」と“マントは嫌”といたずらっぽく笑う。「彼女はその勤勉さと知性、そして周囲を感化する能力で偉大なことを成し遂げた。現代のスーパーヒーローよ」
フェリシティはヘアピース、コンタクトレンズ、歯の被せもの、衣装でルースに外見から成り切り、彼女に実際に会うとともにインタビュー映像の数々を見て、内面もルースそのものとなっていった。「人を安心させるスキル、正直さ、魅力的に全てのことを楽々こなす点を学んだわ。ルースは本当はとてもシャイな人なのにもかかわらず、自分をプロとして動かすことができるのも特別なところ」と彼女のエッセンスをつかんでいったが、一番重要だったのが内に秘めた「怒り」の表現だ。「間違ったことなのに、常に不利な境遇に置かれることへの怒り。わたしはそうした燃え盛る怒りをつかもうとした。彼女がその怒りを、どのようにしてとてもポジティブなものに変えたかを理解しようとしたの」
RBGは#MeToo運動の先駆けとなる存在で、本作はまさに今、現実の世界で起きていることを強く結びついているといえる。フェリシティは「それが、わたしが映画作りが好きな理由なの。ストーリーテリングによって、現在の世界に対して意見を述べることができる。それが人々の心を変える。エンターテインメントは間接的に、人々の世界の見方を変え、世界をより良いところにすることができる。わたしはその力を本当に信じている」と映画の持つ力に期待をかける。
こうした作品や役をいつも探しているのか? との問いには、「う~ん。年を取るにつれて、好みにうるさくなったかな」と笑ったフェリシティ。「なぜなら映画作りがどれだけ犠牲を伴うものかということも知っているから。とても張り詰めた時間で、ちゃんとやるには120%の自分を出し切らないといけない。だから次はもっとユーモラスなのをやりたいな(笑)」と本作での経験がし烈なものであったことをうかがわせ、「いつもクオリティーの高いもの、そしてたくさんの人に届くものを探している。この二つが両立する作品がわたしの理想よ」と作品選びで重視していることを明かしていた。(編集部・市川遥)
映画『ビリーブ 未来への大逆転』は3月22日よりTOHOシネマズ日比谷ほかにて全国公開