ティム・バートン、実写版『ダンボ』に野生動物はゼロ!奇妙な撮影風景
ディズニー実写版『ダンボ』のティム・バートン監督が来日時にインタビューに応じ、巨大な耳を持つ小ゾウのダンボを実写映画になじませることができた理由を明かした。
サーカスを舞台にした本作だが、ダンボをはじめとしたゾウたちはCGアニメーションであり、野生の動物は一切使われていない。バートン監督は「本作に出てくる中で本当に生きている動物なのは、馬と犬だけだよ。野生動物を使うのは、正しいことだとは思えなくて」と語る。
アニメーション版にある、ダンボがいじめられたことにお母さんゾウが怒って暴れ回るシーンも大迫力で再現されているが、そのゾウは撮影現場にはいなかった。「一番の難しかったのは、あの混乱を作り出すことだった。実際のゾウなしでね(笑)。だから撮影現場はすごく奇妙だったよ。2人の大きな人が、グリーンスクリーンのスーツを着て、観客を威嚇するんだ。俳優たちはそれに反応していたんだよ」
そしてダンボも、奇妙で巨大な耳を持たせながらも実写映画に相応しい十分なリアリティーを与えられるよう、そのビジュアルにはかなり気を配ったという。彼をなじませる助けになったのが、バートン監督作の常連俳優たちと、今回が初タッグのコリン・ファレルだ。「俳優たちが皆、奇妙なルックスの人々だったからラッキーだったんだ(笑)。ダニー(・デヴィート)、マイケル(・キートン)、コリン、エヴァ(・グリーン)、彼らは皆ユニークで奇妙な特質がある。それがこの世界を一つにまとめてくれたと思っている」
オリジナル版で有名な“ピンクのゾウのシーン”も文脈は違えど登場する。「あれはアニメを観た皆が覚えているシーンだよね。というよりあのシーンしか覚えていないのかも。アニメではカートゥーンのように『ブーン!』と突然出て来るシーンだけど、実写映画ではそこに至るまでにもうちょっとリアリティーを与えなくてはいけないし、この映画が表すものに自然でなくてはならないから難しかった」と実写ならではの苦労を明かす。
しかし、ダンボの視点で描いた同シーンはワクワクする仕上がりで、ダンボの表情や動きがとにかくかわいい。バートン監督は「そうだね(笑)。なかなか、ああいうことをやる機会はなくて。僕は犬のような精神構造なんだ。僕は動物のことが理解できる。彼らの行動がね(笑)」と自分と似ているという動物たちの表現に自信を見せた。(編集部・市川遥)
映画『ダンボ』は公開中