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世界最大のアニメ映画祭で日本が20年ぶり名誉国に選出!『カリオストロの城』も野外上映に

『海獣の子供』
『海獣の子供』 - (C) 2019 五十嵐大介・小学館/「海獣の子供」製作委員会

 世界最大級を誇るフランスのアヌシー国際アニメーション映画祭で今年、「Tribute to Japanese Animation」と題した日本特集が組まれることになり、18日、都内で会見が行われた。その目玉の一つとして宮崎駿監督『ルパン三世 カリオストロの城』のアヌシー城での野外上映が行われるが、4月11日に亡くなった原作者のモンキー・パンチ(本名・加藤一彦)さんに敬意を表して、追悼上映となる運びだという。

Tribute to Japanise Animationのメイン・ビジュアル
Tribute to Japanise Animationのメイン・ビジュアルを飾るのは、ニューヨーク在住のアーティスト・近藤聡乃の「月の花 Vol.4 背後の気配」(c)Akino Kondoh Courtesy of the artist and Mizuma Art Gallery

 同映画祭は1960年に創設され、今年で43回。1999年より毎年、“名誉国”と題して1か国に焦点を当ててアニメーション文化を紹介する特集を行っており、日本が選ばれたのは1999年の初回に続き20年ぶり2回目となる。企画テーマは「日本のアニメの新しい動きを伝えたい」(岡本美津子・総合ディレクター)という狙いから「New Motion」だが、日本アニメの歴史や功績も振り返る企画も盛り込まれた。

昨年のアヌシー城での野外上映
昨年のアヌシー城での野外上映の様子

 それが歴史あるアヌシー城内で行われる『ルパン三世 カリオストロの城』の野外上映だ。同作は宮崎監督の初長編アニメであり、「ルパン三世」シリーズのファンの間でも人気の高い作品であるが、フランスで公開されたのは日本公開から遅れること40年の今年1月のこと。ルパンの名前がフランスの小説「アルセーヌ・ルパン」シリーズの著作権に抵触していたためと言われており、作者モーリス・ルブランの没後70年が経過し、問題がクリアになったことで公開となったようだ。

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記者会見
記者会見に参加した(写真前列左から)川田十夢監督、山村浩二監督、東京都産業労働局商工部長・土村武史、文化庁参事官・坪田知広、総合ディレクター・岡本美津子。(後方左から)監督/アニメーター・板津匡覧、アニメーター・押山清高、アニメーション演出家・小林寛、アニメーション監督・佐藤広大、アニメーター・Sarina Nihei、CGアーティスト・薄羽涼彌(東京・市ヶ谷のアンスティチュ・フランセ東京にて)

 野外上映は同映画祭の名物で、連夜、老若男女が飲食物やビニールシートを持ち込んで思い思いのスタイルで鑑賞を楽しんでおり、ここで上映されるのは幅広い観客に愛される名作ばかり。その朗報を発表する直前にパンチさんの訃報が飛び込み、総合ディレクターの岡本美津子は「上映の際には言及をしたいと思う」と語り、今後、映画祭側とも調整していくこととなりそうだ。

バースデー・ワンダーランド
『バースデー・ワンダーランド』(c)FUJI TELEVISION NETWORK INC., SIGNAL MD

 ほか期間中は「NEW MOTION Creator's File 2019」と称して、日本アニメ界の次代を担う若手クリエーター26人を専門家が選出し、彼らの作品の上映や展示を行う。また見本市のMIFAでは150平米の大規模スペースにジャパン・パビリオンを設置し、最新技術も紹介。その中には、新海誠監督と開発ユニットAR三兄弟がコラボレーションしたAR新作の展示や、NHKの人気番組「チコちゃんに叱られる!」のCG技術の紹介ブームも設けられるという。

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あした世界が終わるとしても
『あした世界が終わるとしても』(c)CRAFTAR STUDIOS

 短編コンペティション部門の審査員を務めるアニメーション作家・山村浩二監督は「2003年に『頭山』でアヌシーの短編グランプリを受賞した時、たくさん取材が来るかなと思っていたらどこからも連絡が来なかった。アカデミー賞にノミネートされた時はあんなに取り上げられたのに(苦笑)。それが今回の会見にも取材陣が来るようになって、小さなコミュニティーに過ぎなかったアニメーションの裾野が広がったことをうれしく思います」とユーモアを交えつつ特集が行われることの喜びを語った。(取材・文:中山治美)

小田部羊一
名誉ゲストの小田部羊一 Photo:NAMIKI Takashi

主な日本関連上映・イベントは以下の通り

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【映画祭公式上映】
〈名誉ゲスト〉小田部羊一

〈長編コンペティション部門〉審査員:西村義明
湯浅政明監督『きみと、波にのれたら
原恵一監督『バースデー・ワンダーランド
櫻木優平監督『あした世界が終わるとしても

〈Contrechamp・コンペティション部門〉
渡辺歩監督『海獣の子供

〈短編コンペティション部門〉審査員:山村浩二
水江未来監督『The Dawn of Ape』

〈Off-Limits部門〉
林俊作監督『Leaking Life』

〈学生卒業制作部門〉
・木山瑞嬉監督(東京藝術大学大学大学院映像研究科アニメーション専攻)『くじらの湯』
・しばたたかひろ監督(東京藝術大学大学大学院映像研究科アニメーション専攻)『何度でも忘れよう』
・ワーラ・ヤリ監督(多摩美術大学)『THE HUNTER』
・吉成慧恵監督(ノルウェーVOLDA大学)『Somewhere Soft』

〈コミッションド&TVフィルム部門〉
しぎのあきら監督『恐竜少女ガウ子』

〈コミッションドフィルム・コンペティション部門〉
『Powder "New Tribe" AC部』

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〈スクリーニング・イベント〉
米林宏昌百瀬義行山下明彦監督『ちいさな英雄 カニとタマゴと透明人間』

〈野外上映〉
米林宏昌監督『メアリと魔女の花
竹之内和久西尾大介立仙裕俊監督『インターステラ 5555

【日本アニメーション特集上映・イベント】
〈NEW MOTION Creator's File 2019〉
(選定委員:岡本美津子、山村浩二、土居伸彰、川村真司、石川光久瀬谷新二南雅彦

1.Sarina Nihei 短編『Rabbit's Blood』
2.折笠良 短編『Notre Chambre』
3.水尻自子 短編『幕』
4.冠木佐和子 短編『えーん』
5.平岡政展 短編『L'Ceil du Cyclone』
6.ひらのりょう 短編『パラダイス』
7.Tao Tajima MV「Waxing Moon」
8.牧野惇 MV「戯言スピーカー」
9.ユーフラテス 短編『Layers Act』
10.大西景太 短編『ロックンロールマーチ』
11.薄羽涼彌 短編『見なれぬものたち』
12.板津匡覧 短編『みつあみの神様』
13.小林寛 TV「ひそねとまそたん」
14.内海紘子 TV「BANANA FISH」
15.押山清高 TV「スペース☆ダンディ『ビッグフィッシュはでっかいじゃんよ』」
16.久野遥子 短編『Airy Me』
17.橋本麦 短編『imai -Fly ft.79, kaho Nakamura』
18.柴田大平 短編『がまんギリギリライン』
19.矢萩利幸 ゲーム内アニメ「PERSONA5-ペルソナ5-」
20.中武哲也 TV「進撃の巨人」
21.佐藤広大 短編『えんぎもん』
22.吉田健一 TV「ガンダム Gのレコンギスタ」
23.新井伸浩 長編『文豪ストレイドッグスDEAD APPLE』
24.金子雄司 TV「キルラキル」
25.坂本サク 長編『アラーニェの虫籠
26.近藤聡乃 短編『てんとう虫のおとむらい』

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和田淳特集〉
『係』、『鼻の日』、『声が出てきた人』、『そういう眼鏡』、『わからないブタ』、『春のしくみ』、『グレートラビット』、『Anomalies』、『秋 アントニオ・ヴィヴァルディ「四季」より』

〈あにめたまご〉
佐藤広大監督 短編『えんぎもん』
益山 亮司監督 『Hello WeGo!』
西山映一郎監督 『チャックシメゾウ』

〈ヴィヴァルディ「四季」ライブアニメーションコンサート〉
アンナ・ブダノヴァ監督(ロシア)『春』
プリート&オルガ・パルン監督(エストニア)『夏』
和田淳監督『秋』
テオドル・ウシェフ監督(カナダ)『冬』

〈『カリオストロの城』野外上映〉
宮崎駿監督『ルパン三世 カリオストロの城』

第43回アヌシー国際アニメーション映画祭は6月10日~15日開催

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