ノーマン・リーダス&小島秀夫、PS4新作ゲーム「デス・ストランディング」を語る
俳優のノーマン・リーダスとゲームデザイナーの小島秀夫が、トライベッカ映画祭(TFF 18th)で開催されたトライベッカ・トークのイベントで、4月25日(現地時間)、PS4向けの新作コンピューターゲームソフト「デス・ストランディング」について語った。
「デス・ストランディング」は、「メタルギアソリッドV」を最後にコナミを退社した小島が新会社コジマプロダクションを立ち上げて初めて開発するゲームソフトで、自ら企画・脚本・監督・ゲームデザインを担当した意欲作だ。
ゲームならではの楽しみ方を追求したという本作。映画や小説では、主人公を通して物語の世界や仕事の中身、例えば主人公が医者なら医者の仕事がどういうものなのかがわかるが、ゲームでは最終的に自分で判断するため、それが映画や小説とは決定的に違うのだと小島は語る。「自分で選んで行動するというところが、実際に人生においても大きな要因になるので、そこをうまくゲームのシステムに乗せてあげれば、映画や小説ではできない体験をプレイヤーはできると思ったんです」
主人公のサムにノーマンを起用した理由については、「アクションゲームなので、プレイヤーが主人公を操ることで、自身が主人公になるわけです。そんな主人公を作り上げる上で、当然演技力が必要になるんですが、立ち姿とか、まぶしそうにしている顔とかが、スティーヴ・マックィーンやクリント・イーストウッドのようなオーラがないと、ゲームの根幹の部分が成り立たない。今の時代ならノーマンしかいないと思いました」と語り、ゲーム内ではプレイヤーの気持ちになったせりふを、主人公がしゃべってくれることも明かした。
一方、ノーマンは小島と話し合った際、彼の話を把握するのに少し時間がかかったそうだ。「まるでサルバドール・ダリが『わたしは薬物をやらない、わたしが薬物だからだ』と言っているような感じで、最初は『何だ?』と思っていたが、彼の言葉の節々をつなぎ合わせると、とてもインスピレーションが湧いてきて、(一般の人とは)全く異なった考え方であることが理解できたんだ。それに、僕には10代の子供がいて、僕自身も子供と一緒にゲームをやるんだ。今作はバイオレントな部分もあるが、(普通のゲームとは)全く異なった作品だと思っているよ」
また、小島とのタッグについては「例えば、テーブルの上にあるボトルを動かしたり、何か別のものを置いたりすると、テレビや映画のディレクターからは撮影の邪魔をしていると思われる。そんな突発的なアイデアを持つ俳優とは、誰も一緒に働きたがらないんだ。でも小島とのタッグでは、たとえボトルを動かしても、共感してくれて、とてもコラボしやすい環境だったよ。(モーションキャプチャーでの撮影のため)バスケットコートのような大きな場所で僕らは撮影したのだけど、カメラはあっちこっちにあり、大きなフラットスクリーンが壁につけられていて、自分が動くたびに、自分の周りが全て動いているような感じだったんだ。休憩時に僕が座ってあくびしたりすると、小島から『もう一度、あくびしてみて!』と指示されたこともあって、普段の行動までもがゲーム内に取り入れられているんだよ」と明かした。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)