『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』レビュー カタルシスと終末感に満ちた怪獣バトル
怪獣同士による「地球最大の決戦」を描く新作映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』は、ハリウッド版ゴジラが復活を遂げた前作『GODZILLA ゴジラ』(2014)から、怪獣の数だけではなく、スケールもアクションも全てがパワーアップを遂げた。前作とのコンセプトの違いは明確で、怪獣たちによる恐ろしくも美しい破壊シーンやバトルシーンに、かなりのパートが裂かれている。
【写真】圧巻のゴジラ、ラドン、モスラ、キングギドラ!<全10枚>
予告編が公開された時点で多くのファンをうならせた、怪獣による大破壊の完成度は素晴らしく、カタルシスに満ちている。同時に、ラドンのはばたきで崩壊する都市のビジュアルなど、人類の危機を思わせる終末感も漂っており、大スクリーンで見るべき仕上がりと言えるだろう。
モスラ、ラドン、キングギドラの設定をはじめ、そこかしこに東宝怪獣映画へのオマージュを仕込んでいるあたりもニクい。シリーズのお約束ともいえる名所破壊も世界規模で描かれ、幼少期からの『ゴジラ』ファンであることを公言しているマイケル・ドハティ監督のオタクぶりが遺憾なく発揮されている。
怪獣たちの迫力ある姿や戦いに比べると、人間側のドラマや兵器描写は少ない気もするが、ミリー・ボビー・ブラウン、カイル・チャンドラー、ヴェラ・ファーミガら実力派俳優たちの名演がカバー。特に、人類とゴジラが共存する道を訴え、前作以上の活躍を見せる、芹沢博士役の渡辺謙が見せる葛藤は印象深い。
ドハティ監督が語り続けてきた本作のテーマのひとつが「怪獣と人間の共存」だ。本作における怪獣の存在が「自然」を象徴していることは明白で、世界中に混乱をもたらす彼らの存在は、現実に降りかかる大災害のようでもあり、怪獣バトルを楽しんだ観客に深いメッセージをも投げかけるはずだ。
ちなみにドハティ監督は、本作に登場する怪獣以外では「メカゴジラ、アンギラス、ビオランテ」がお気に入りと語っていた。アダム・ウィンガード監督が手がける次回作『ゴジラVSコング(仮)』でゴジラはキングコングとの対決に臨むが、今後も続くであろうモンスター・ユニバースで再びドハティ監督がメガホンを取り、怪獣たちを復活させることを今から期待せずにはいられない。(編集部・入倉功一)
映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』は5月31日より全国公開