シリーズ最新作『X-MEN:ダーク・フェニックス』に見るビーストの成長
映画『アバウト・ア・ボーイ』で注目を集め、映画『ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー』『女王陛下のお気に入り』などの様々な作品に出演、着実にキャリアを積んできたニコラス・ホルト。話題作『X-MEN:ダーク・フェニックス』と自身が演じたビースト、ハンク・マッコイ役について語った。
本作は世界中でヒットを記録した『X-MEN』シリーズの第7弾。ミュータントとしての特殊能力を活かし、人類と共存していたX-MEN。しかし、宇宙でのミッション中に発生した事故によって、ジーン・グレイ(ソフィー・ターナー)の邪悪な別人格ダーク・フェニックスが覚醒する。やがて彼女は制御不能に陥り、世界は滅亡の危機に直面する。
まず、前作『X-MEN:アポカリプス』と比べ、今作でのビーストにはどのような変化があったのか。「ビーストは、『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』ではプロフェッサーXの生徒だったけど、それから彼の援助者になり、そして今ではX-MENチームの中では、ミスティークとともにプロフェッサーXの副官のような役割を果たすようになっているんだ。ただ、徐々に異なった観点も持つようになり、いつでも彼のアプローチに同意するわけではなくなっていく」と語り、チームの中で意見を持つ存在になっていくようだ。
さらに今作では、X-MENチームという家族が、ある秘密によってバラバラになる。「自分たちにさえ被害を与えることになる家族の一員を、どれだけ愛することができるのか、あるいは家族を守るために厳しい決断をするか等、家族内の関係性や対立を気にしながら演じていたよ」しかし、日によっては、ビーストとしてブルーの毛皮を着て、ただ吠えながら四つん這いになって動き回っているシーンの時もあったと振り返った。また、『X-MEN』シリーズに出演するにあたり、体重を増やすためにトレーニングを行っていたことも明かした。
今作で初監督に挑戦しているサイモン・キンバーグは、俳優たちのために演技しやすい環境を作っていたようだ。「『X-MEN』シリーズのような大作は、事前に大きなセットが組まれ、それぞれのショットもかなり下準備されている。でも、今作では、あえて共演している俳優がお互いに話しやすいような小所帯のシステムを取って撮影をしていて、シンプルな台詞にも集中できるような環境が作られていたんだ。そんな手法をサイモン監督は、見事にこなしていたよ」とニコラスは述べた。長年同シリーズで脚本・製作を担当し、中核を担ってきた監督ならではの手法と言えるだろう。
同シリーズに出演する中で最も興奮したのは『X-MEN:フューチャー&パスト』を撮影していた時だったそうだ。「あの映画には、新旧の『X-MEN』シリーズのキャストが出演していて、ウルヴァリンなど、子供のころから見ていたキャラクターが目の前にいるんだ。彼らと共に演じていると思うと、それはとても信じられないことだったよ」と自身も以前から『X-MEN』シリーズのファンだったことを明かした。
最後にビーストについて、ニコラスはこう語る。「ビーストであるハンクは、『X-MEN』シリーズを通して、自分らしくいることが徐々に心地良くなってきている。それは一番肝心なことだった。ハンクは、最初はミュータントであることを認めたくなかったが、今作ではビーストとしての自分を受け入れ、理解もしている。そして、他のミュータントが社会の中でどう対応すべきか、彼自身の意見も持つことになる」映画内ではそんなビーストの成長ぶりに注目だ(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)