かつては駄作と評価!?ドキュメンタリーが解き明かす『ロボコップ』監督の問題作!
トライベッカ映画祭(18th TFF)に出品された話題のドキュメンタリー映画『ユー・ドント・ノーミー(原題) / You Don’t Nomi』についてジェフリー・マクヘイル監督が、4月29日(現地時間)、上映後のQ&Aで語った。
本作は、公開時には駄作と酷評されたポール・ヴァーホーヴェン監督の映画『ショーガール』が、今ではカルト的人気を誇り、新たな注目を浴びることになった経緯を、批評家や作品に関わった人物へのインタビューを含め、シーンを分析しながら当時の製作経緯を振り返っていくドキュメンタリー映画。
実は、『ショーガール』を初めて鑑賞したときから、ずっと同作のファンだったと明かすマクヘイル監督。「うまく言葉で表現できないが、当時鑑賞したときに、自分の心に何かしら響いた感覚を受けたんだ。あるとき、同作で主演を務めたエリザベス・バークレイが映画の紹介をする特別上映のイベントに参加した際に、4,000人ものファンが彼女に拍手を送っていた。これほどたくさんの人々が集まったのを見て、この作品をさらに分析してみようと思ったのが本作の始まりだよ。製作にあたり、この作品に関するあらゆる書物を購入して、調査に入った」と語った。その後、批評家や映画関係者にもコンタクトを取っていったそうだ。
今作では、『ショーガール』のシーンはもちろんだが、ヴァーホーヴェン監督の別の作品のシーンも含まれていて、比較対象として描いている点も興味深い。「僕はリサーチを始めた過程で、彼が『ロボコップ』を手掛ける前の、まだオランダにいた頃の作品を観たことがないことに気づいたんだ。それらの映画を観ることで、それぞれの彼の分岐点が、いかにあの『ショーガール』につながっていったかを調べた。なぜなら、人々に受け入れられたあの『ロボコップ』や『トータル・リコール』を手掛けたヴァーホーヴェン監督が、いかに『ショーガール』のような映画を作って、人々を困惑させてしまったのかを知りたかったからだ。だが、彼のすべてのキャリアを見ていくうちに、それらがみんなつながっていることがわかり、あえて過去の作品を持ち出してきて、比較させてみたんだ」と明かした。
『ショーガール』は今でこそカルト的人気を誇っているものの、かつては駄作3作品の1つと評されていたそうだ。「(駄作3作品といわれている)『哀愁の花びら』が1967年公開で、『愛と憎しみの伝説』が1981年公開、そして『ショーガール』が1995年なんだ。偶然だとは思うが、14年ごとに新たな駄作が作られてきたんだ。もっともそれ以降、これら3本の映画と同等な駄作と言われるカルト的作品は作られていないけれどね……(笑)」と答えた。そして、最後にマクヘイル監督は、主人公ノエミ・マローンを描いたワンマンショーや、ショーガールに扮したドラッグショーなどが、これまで舞台で上演されてきたと紹介した。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)