いだてん26回、菅原小春の演技に視聴者号泣
7日に放送された大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」(NHK総合・日曜20時~ほか)第26回で、ダンサーの菅原小春が見せた迫真の演技が反響を呼んでいる。菅原が演じたのは、日本人女性初のオリンピック選手となる人見絹枝(ひとみ・きぬえ)。菅原は、本作が演技初挑戦とあって注目を浴びていたが、日本女子スポーツの未来を担う先駆者の苦しみや葛藤を見事に体現してみせた。(※ネタバレあり。第26話のストーリーに触れています)
第26回「明日なき暴走」は、またの名を「人見絹枝物語」。アムステルダム大会で女子陸上が正式種目となり、国内予選を席巻した人見(菅原)は、日本人女性として初めてオリンピックに出場することとなりプレッシャーを一身に背負うなか、100メートル走でまさかの惨敗。しかし、人見は大日本体育協会主事・野口源三郎(永山絢斗)らに、未経験の800メートル走への出場を懇願。その際に見せた菅原の演技が多くの視聴者の琴線に触れ、涙を誘った。
未知の800メートル走出場に「死んでもいいのか」と猛反対する野口らに対し、人見は「100メートルも死ぬ気で走りました。男は負けても帰れるでしょう。でも女は帰れません。負けたら、やっぱり女はだめだ。男の真似して走っても役に立たないと笑われます。日本の女子選手全員の希望が、夢が、私のせいで絶たれてしまう」と何度も頭を下げた。
人見は並外れた運動神経を誇りながらも、当時は女子スポーツが確立されておらず、結果を出すたびに「バケモノ」と中傷されてきた。その背景を思うと、この人見の言葉にどんな思いが込められていたのか。命懸けの決意だったことは想像に難くない。
放送後、ネット上では人見の生きざま、そして菅原の演技に「涙が止まらなかった」「目が離せなかった」「圧倒された」「圧巻」など視聴者の熱い感想が飛び交っている。
「神回」と呼ばれる本エピソードの演出を担当したのは、ドラマ&映画「モテキ」、映画『バクマン。』『SUNNY 強い気持ち・強い愛』などの演出、監督を務めてきた大根仁。
人見が成し遂げた奇跡、そしてスポーツで活躍する女性たちの希望は、次回・第27話「替り目」から女子水泳の天才少女・前畑秀子(上白石萌歌)へと受け継がれていく。(編集部・石井百合子)