ANARCHY、初監督作『WALKING MAN』への思い<撮影現場レポート>
野村周平を主演に迎え、ラッパーのANARCHYが長編映画初監督を務めた映画『WALKING MAN』(10月11日公開)。撮影現場取材会が昨年11月に都内で実施され、撮影の合間に取材に応じたANARCHY監督が作品に込めた思いを語った。
【動画】いろんなラッパーたちが登場!『WALKING MAN』予告編
この日は野村周平、伊藤ゆみ、渡辺真起子、石橋蓮司といったキャスト陣が参加しており、街中の中華料理屋で撮影が敢行されていた。大通りに面した場所でのロケ撮影ということもあり通行人から声をかけられることも多々あったが、カメラがまわっていない時であればANARCHY監督は気さくにファンに対応していた。
その一方で役者たちの演技が映るモニターをチェックしている時の顔は真剣そのもの。今作の脚本を務めたドラマ「民衆の敵 ~世の中、おかしくないですか!?~」などの梶原阿貴と言葉を交わす際や、『旅のおわり世界のはじまり』『羊の木』などで知られるカメラマン芦澤明子と話す時も堂々としており、今回が初監督といった雰囲気は全く出ていなかった。
撮影の空き時間に行われたインタビューでANARCHY監督は映画スタッフとの距離感について聞かれると「すべてが初めてのことばかりなので勉強しながらやっています。僕が一番の素人。いろんな人に聞いて勉強しているという感覚でやっていたらどんどん縮まってきているかなと思います」と語った。
今作はどん底の生活を送る主人公・アトム(野村)がラップに出会い、夢を見つけて成長していく物語だ。ストーリーについては「脚本家の人が僕の曲を聞いてくれて、そこに出てくるワードとかを組み込んでくれました。セカンドアルバムで歌った『Drama King feat.Tina』という曲があるのですが、そこから抜いてもらっているのかなというシーンもあります」と紹介した。
「ヒップホップとかラップ好きの人はもちろんですが、そういった人たち以外の方も、幅広くいろんな人に観てもらいたい」とANARCHY監督。「(劇中では)アトムという平凡な主人公が、言いたいことがたまりまくってラップになる。言いたいことが言えない人ってたくさんいると思います。そういう人がラップじゃないにしても言いたいことを言えたり、やりたいことができるようになるような、その一歩になる映画になったら」と作品に込めたメッセージについて明かした。
「ヒップホップのシーンを広げるために映画という表現方法を借りたというか、お邪魔しているとも思っています。日本のヒップホップの文化を小さくしていたのは日本のヒップホップをやっている人たちだったと思うんです。『それはヒップホップじゃねー!』とか『これがヒップホップだ!』とか。そういうのを僕はぶっ壊したくて。そういう作品になるとも思っています」
映画に関しては初監督となるANARCHY監督は、ラッパーとしてカリスマ的な人気を誇り、日本のラップシーンを牽引している。「ラッパーがラップの映画をつくってスベったらサブイですよね(笑)。そういうプレッシャーはあるんですが、スタッフにも恵まれているのでいい形になると確信しています」と自信をのぞかせたANARCHY監督の顔は撮影中もインタビュー中も常に力強かった。(編集部・海江田宗)