タイトルとのギャップありすぎ『“隠れビッチ”やってました。』<撮影現場レポート>
映画『“隠れビッチ”やってました。』(12月6日公開)の撮影現場が、報道陣に向けて公開された。映画初主演を務める佐久間由衣と、共演の村上虹郎、大後寿々花、森山未來が、タイトルからは想像のつかない和やかな撮影現場で、本作への思いを語った。
原作は、あらいぴろよによる実体験をもとに描いた同名コミック。清楚派に擬態した“隠れビッチ”の主人公・ひろみは、思わせぶりな態度を取って男性を次々とハントしていく。恋愛の美味しいところだけを楽しむ彼女の、裏に潜む心の隙間や歪みが描かれる。
佐久間ふんする主人公・ひろみは、シェアハウスしているバイセクシャルのコジ(村上)、ひろみの友人で同じくシェアハウスの住人である彩(大後)、ひろみを見守る三沢(森山)といった周囲の人と時にぶつかり合いながら、自分の弱さと向き合い、自分自身を見つけていく。
この日撮影が行われたのは、都内の一軒家をそのまま使用したシェアハウスのシーン。コジが祖母から譲り受けたという設定の家の中は生活感にあふれており、どこか昭和感が漂う。撮影の合間には、キャストたちが小道具の羊かんについての話で盛り上がるなど、終始和やかな空気が流れていた。
主人公・ひろみ役の佐久間に、初めてタイトルを知ったときのことを尋ねると、「まずビッチという言葉に驚きました。“隠れビッチ”は初めて聞くワードで、最初は強烈な印象でした」と明かす。しかし、原作と脚本を読んで「『人に好かれたい』という感覚は、誰の心にもあるんじゃないかと理解できる部分があったので、挑戦してみたい気持ちになりました」と印象が変わったと答える。
佐久間は、三木康一郎監督から撮影前に「厳しくする」と伝えられた。その言葉通りの演出のようで、「たくさん怒られていますが、妥協されるよりいい。良い作品にしたいという気持ちが強くあります」と熱い気持ちを吐露した。また、初主演のプレッシャーはなく、「毎日とっても楽しいです! 終わるのがすごくさみしくて……」と残り少ない撮影を名残惜しそうにしていた。
“ノーマル”な役が久しぶりだと笑う三沢役の森山。“隠れビッチ”なひろみのことを「『愛したいのに愛し方がわからない』『愛されたいけどどうしたらいいかわからない』というのは言葉としてはよくあるけど、やり方がすごく極論な感じ(笑)」と評しながらも、ひろみを愛する三沢という人物を理解したいといい、「バランス感覚が合った2人の関係性をうまく見せられたら」と述べる。
彩役の大後は、撮影初日を振り返り「ひろみに『死ね!』と言うシーンだった」と苦笑い。彩はひろみと激しい応酬を繰り広げるシーンが多く、「お互い無関心ではいられないのに、キツイことを言い合っているのは心が痛い」と撮影の苦労を語りつつ、「でも、お母さん的なコジがいるから、結局収まる」と3人の不思議なバランスを冷静に分析していた。
ひろみと彩の話を聞くコジ役の村上。演技をしていないときは「一番喋る」と笑顔を見せ、「コミュニケーションがあったほうが3人の関係性が生きるかなと思う」とムードメーカーとして撮影現場を盛り上げる。撮影については、監督が急なアドリブを指示することが多いとぶっちゃけ。「『任せた!』ってすぐ言われるんです(笑)。ある意味僕らを信頼していただいているのもあって、試されている感じもする。それが楽しいですね」
さらに森山は、「コミュニケーションがよく取れているんだなと感じる」と3人の仲の良さについて言及した。シェアハウスしている設定のため、佐久間の提案により、撮影前に村上と大後の3人でのリハーサルを行い、ご飯を一緒に食べに行くなど交流を深めていったそうだ。そんな彼らの息の合った掛け合いをスクリーンで観ることができそうだ。(編集部・梅山富美子)