松尾スズキのR18映画に中山美穂「やりたいと思った」ときっぱり
劇団「大人計画」を主宰する松尾スズキが監督・脚本・主演を務めた映画『108~海馬五郎の復讐と冒険~』の完成披露試写会が24日に都内で行われ、共演の中山美穂がR18+の過激な本作に出演することに「多少は躊躇がありましたが、やりたいと思いました」とキッパリ語った。この日はキャストの秋山菜津子、岩井秀人、坂井真紀、大東駿介、土居志央梨も登壇した。
映画のお披露目となったこの日、上映後のステージに立った松尾は観客の反応が気になって仕方が無い様子。緊張の面持ちで「本日は、わたしの、わたしによる、わたしのための映画を、赤の他人の皆さんに見せてしまい、本当に申し訳ありませんでした!」と謝罪してみせると、会場は大笑い。さらに「初めて一般の方にお披露目したので、どんな反応なのか。(鑑賞中の劇場の様子が舞台裏には)伝わってこなかったので、口の中がカラカラです」と続けると、称賛の拍手が起こり、ホッとした顔を見せた松尾だった。
松尾にとって4本目の長編監督作となる本作は、元女優の妻の浮気をSNSの投稿を通じて知った男が主人公のコメディー。いま離婚すれば財産分与で資産の半分を渡さなければならないことが判明したため、意地でも資産を使い果たすことを決意し、妻の投稿に付いた「いいね!」の数=108だけ女を抱く、という過激な復讐に挑むさまを描く。約5年前から構想を練っていたという松尾は、「ちょうどその時が(自身が)2回目の結婚をした時期で。結婚とは何だろうと考えていたら、フッと降りてきたんです。夫婦の謎の物語です」と説明した。
“妻への復讐のために108人の女を抱く”という奇想天外な展開からR18+指定となった本作だが、年下のダンサーに心を奪われる妻・綾子役の中山は「正直、とても面白いと思いました。多少は躊躇しましたけど、内容の方が勝って。台本を読んでやりたいと思いました」とキッパリ。実際に鑑賞した映画も「ゲラゲラ笑ってしまって。こんなに面白い作品は無いなと思いました」と笑顔を見せた。
さらに松尾とのコラボレーションを「普段は静かな方なんですけど、芝居をするとパッションが出てきて。日に日に可愛いなと思うようになりました」とにっこり。一方の松尾は「(中山は)普通の温度で現場にいらっしゃって。淡々と演技をして、普通の温度で帰っていく。思っていた大スター像とは違って、監督を緊張させない女優さんだなと思いました」と振り返った。
そして最後のコメントを求められた松尾は「5年間の構想の後にようやく今日、日の目を見ました。撮ってからも1年たっていますが、1年たってもこんなにキャストが集まってくれるのは、キャストが後悔していないんだなと。これは言質をとった形になっていますね」と笑いつつ、「SNSが災いする映画ですが、悪い感想は胸に秘めて、SNSが功を奏するようにお願いします」と観客に呼び掛けていた。(取材・文:壬生智裕)
映画『108~海馬五郎の復讐と冒険~』は10月25日よりTOHOシネマズ日比谷ほかにて全国公開