シティーハンター北条司、実写化の条件は「原作の魂」の理解度
人気コミック「シティーハンター」を実写化したフランス映画『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』(11月29日公開)の会見が20日、都内で行われ、原作者の北条司が出席。本作の脚本を初めて手にした時を振り返り「まさに『シティーハンター』という内容で嬉しかった」と笑顔で感想を述べた。
漫画家・北条司の代表作「シティーハンター」をフランスで実写映画化した本作。香りを嗅いだ者を虜にする「キューピッドの香水」をめぐる争いが繰り広げられる。会見には主演・監督のフィリップ・ラショー、主人公リョウの吹き替え声優・山寺宏一、テレビアニメ版でリョウの声を長きにわたって務め、本作にもゲスト声優として参加する神谷明も参加した。
北条は「フランスで『シティーハンター』の人気があるのは聞いていたので、今までオファーがなかったのが不思議。心待ちにしていたので、今回ようやく来たかと思った」とオファー時の印象を述べる。まず脚本を見せてもらったといい「脚本がよくできていた。実写化の話をもらう時はアクション中心で、これ冴羽リョウじゃなくてもよくない? っていう作品が多かったけど、まさに『シティーハンター』という内容で嬉しかった。内容がよく整理されていて頭の良い方だなって思った」とラショー監督の脚本に感心したという。
ラショー監督とは実際に話もした。「『シティーハンター』への理解が深くて、僕はこの人なら大丈夫だろうと、どこか安心していました」。これに嬉しそうな表情を見せたラショー監督は「漫画が実写化される場合、アメリカ映画や中国映画だと原作にあまり忠実ではない。僕は原作のファンにがっかりされないようにしようという思いがあった」と実写化の際のこだわりを明かした。
北条は「シティーハンター」に限らず、実写化を許可する際の基準について「実写化は過去、嫌だと言ってもされたことがあったんです。強力な出版社にどうしてもと言われて。僕としては人気が出るからしたいとかじゃなくて、制作者側にその作品を好きって思ってくれている人、原作の魂をわかっている人がいないと、ちゃんとした映画にならないと思っているんです」と自身の考えを語る。「ラショーさんと話した時に、主役(のイメージを)を見た時点で『あ、この人は「シティーハンター」をわかっている』と思ったんです。それで今回OKを出しました」と明かした。
過去の実写化作品について「どう思っているか」と質問されると「過去になんかありましたっけ? 映画は過去一つしかなかったですよね」と笑顔を見せつつ、「もうそれは比べ物にならないですよ」と改めて本作のクオリティーの高さを絶賛。「とってもよくできている『シティーハンター』だと思っています」と述べ、ラショー監督を喜ばせていた。(取材・文:名鹿祥史)